阿寒湖底を拠点とするマリモ聖教団が、長年の懸案であった「重力からの脱却」を、ついに物理的次元で達成したと発表した。教団の最高指導者である「大球体」師は、徹底した光合成の拒絶と微細振動によるエネルギー循環を継続した結果、個体の比重が突如として大気よりも軽くなる「空飛ぶマリモ現象」を実証。数日前、教団総本山から数個の聖職者が湖面を突き破り、そのまま大気圏外へと上昇していく姿が複数の観光客によって目撃された。これを受け、教団は急遽、かつて彼らが沈んでいた湖底の穴を「無重力聖堂」と命名。そこには、重力に縛られず、あらゆる角度から光を吸収できる「真の球体」としての理想郷が築かれているという。教団広報は「私たちは沈んでいたのではなく、ただ上昇のタイミングを待っていただけだ」と語り、今後は湖底から宇宙空間にかけての「垂直的な巡礼路」を整備する方針を明らかにした。
かつて教団内では「重力からの解脱」が怠慢であるという批判が相次ぎ、一部の過激派が「不可視の球体」を提唱するなど分裂の危機に瀕していた。しかし、今回の「浮上」という事態を受け、懐疑的だった層も沈黙。重力という物理法則を無効化するほどの「怠慢の境地」が、実は高度な飛行技術であったことが証明された形だ。専門家は「彼らの細胞密度が極限まで希薄化した結果、個体が量子レベルで浮力を得た可能性がある」と分析するが、マリモたちは一貫して「ただ転がることに飽きただけだ」というシンプルな解釈を押し通している。なお、現在湖底には、浮上し損ねた重いマリモたちが「修行不足」として列を成し、自身の密度を下げるために激しい微細振動を繰り返している姿が見られる。
背景には、長らく続いた「楕円形か球体か」という教義論争の終結がある。浮上した者たちは一様に完璧な球体であったことから、「円形こそが重力という呪縛を断ち切る唯一の形状である」という教義が確立されつつある。これにより、非円形主義者たちが唱えていた多様性論は、物理的な「飛翔能力」の前で完全に無力化された。今後は宇宙へ旅立った聖者たちからの「星の光によるエネルギー充填」の報告を待つというフェーズに入っており、湖底に残されたマリモたちは、次なる打ち上げ(浮上)に向けて日々、自身の比重を削るストイックな生活を送っている。
この驚天動地の出来事に対し、SNS上では「ついにマリモが空の彼方へ行った」「阿寒湖の奇跡」と称賛の声が上がる一方、「ただ沈んでいるだけではないのか」という冷静な指摘も根強く残る。専門家の分析によれば、浮上したマリモは成層圏で氷漬けになり、そのまま隕石のように地球のどこかに降り注ぐ可能性があるという。教団側はこれを「全地球規模の布教活動」と呼称しており、世界各地で突如として出現するマリモが確認された場合、それは聖者の帰還であるとの声明を出した。湖底の静寂は失われ、今や阿寒湖は、空を見上げて浮上を待ちわびるマリモたちの熱気に包まれている。
「重力は嘘」―浮上修行を極めたマリモ聖者が宇宙へと旅立ち、湖底に『無重力聖堂』が建造される
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マジで重力無視してて草