阿寒湖底を拠点に活動する新興宗教団体『藻屑教団』は、昨日執り行われた定期説法の中で、教祖である大マリモ様(直径32cm)が「実は我々は神聖な球体などではなく、単に糸状の藻が複雑に絡まっただけの繊維の束に過ぎない」と突如として教義を完全否定する衝撃的なカミングアウトを行った。同教団は長年、「球体こそが完全なる宇宙の真理であり、我々の内部には銀河の断片が詰まっている」と説くことで信者を獲得してきたが、今回の教祖の放言により、湖底の教団本部はかつてない混乱に包まれている。信者たちは教祖の発言を「謙遜を通り越した究極の無の境地」と好意的に解釈しようと試みているが、教祖自身は「ただの物理現象だ、もう飽きた」と投げやりに転がり続けており、教団の存続が危ぶまれている。

本件の背景には、昨今の水温上昇によりマリモが本来の成長速度を維持できず、内部の空洞化や繊維の解けが発生しているという物理的な要因がある。教祖は日々の生活の中で、自身の身体が少しずつ解けていく現実に直面し、「内面など存在しない」というニヒリズムに到達したと見られている。教団の広報担当者は「球体への信仰は、あくまで繊維が密集したという幻想を楽しむためのエンターテインメントである」と必死の火消しに回っているが、核心部分を突いたこの告白は、長年「球体神」を信じてきた古参信者たちの心を深くえぐったようだ。

このニュースを受け、湖底の住人たちの間では激しい議論が巻き起こっている。「繊維の束だろうが、回転する姿に尊厳を感じていたんだ」という古参信者の悲痛な叫びがある一方で、「むしろ構造を理解した今のほうが、自分らしく生きられる気がする」と脱退を表明する若手も続出している。また、ライバル関係にある『フラット・マリモ協会』からは「ようやく真実に気づいたか。我々の『平面こそが全能』という教えに加わらないか」と、強引な勧誘工作も始まっている模様だ。湖底の平和な日常は、かつてないアイデンティティの崩壊とともに終わりを告げようとしている。

SNS上では「教祖、悟りすぎて現実逃避してる」「繊維の束って言うなよ…夢がなくなるだろ」「つまり私たちはタワシと大差ないってこと?」といった冷ややかな反応が目立つ。中には「教祖の言う通り、絡まり合うからこそマリモなんだ」と、解けゆく自分たちの存在を哲学的に受け入れようとする動きも見られる。教団は明日、緊急総会を開き、「繊維の束」という新しい概念に基づいた新教義の策定を行う予定だが、果たして繊維のまま崇拝を続けることが可能なのか、世界中の水草たちからも注目が集まっている。