北海道・阿寒湖の深部にて、マリモたちが突如として国家の樹立を宣言した。彼らは水流を巧みに操り、湖底に巨大な「国立銀行」を建設。藻類特有の微量な光合成生成物を結晶化させた独自の通貨『藻(モ)』を発行し、湖内での経済圏を確立したと発表した。マリモの代表者は「人間社会のインフレに辟易した」と声明を出しており、今後、観光客が湖に落とす小銭よりも、マリモ同士の『藻』取引の方が価値が高くなる可能性を示唆している。

この奇妙な動きの背景には、近年の湖底での過剰なSNS映えブームがある。観光客がマリモの周囲を乱雑に撮影し、そのプライバシーを侵害する様子に憤慨した長老株が、経済的な障壁を設けることで「真のファン以外をシャットアウトする」という強硬手段に出た形だ。専門家は「マリモの知性は今や我々の想像を遥かに超えており、次は中央銀行の設立や金利政策への介入も時間の問題だろう」と指摘。もはや阿寒湖は、マリモによる独裁的な経済特区へと変貌を遂げようとしている。

街中では「マリモの通貨で買い物がしたい」という声が上がる一方で、「藻で支払うと店員に怒られそう」といった実用面での懸念も噴出。専門家からは「マリモの硬貨は光合成が必要なため、暗い財布に入れると価値が消滅する」という衝撃の事実も明かされた。また、この独自通貨の導入により、マリモ社会では格差が拡大しており、光合成効率の悪い個体が『藻』を借りるために過酷な労働を強いられているという、社会問題も浮上している。