阿寒湖の生態系に異変が生じている。これまで光合成と休息を繰り返すのみだったマリモたちが、突如として超高度な数学的思考に目覚めたことが、国立湖沼研究所の調査で明らかになった。湖底に鎮座するマリモたちは、独自の光の屈折パターンをモールス信号のように駆使し、複雑な微分方程式やフーリエ変換を瞬時に計算しているという。研究チームによると、マリモたちは互いの重心をわずかにずらすことで『生体計算機』を構成しており、その演算速度は最新のスパコンを凌駕する可能性があるとのことだ。現在、阿寒湖の深部ではマリモたちが導き出した「宇宙の真理」を記した数式が、藻の配置によって湖底に描かれており、地元の観光協会は「湖に沈む数学の教科書」として困惑の表情を隠せない。

本件の背景には、阿寒湖周辺の磁場変化が関係していると推測されている。マリモは元来、回転しながら球体を維持する性質があるが、この回転運動が地球の磁場と干渉し、ニューロンのような電気信号を生成しているという説が有力だ。専門家は「彼らが何を計算しているかは不明だが、計算の最後には必ず『42』に近いパターンで藻が並ぶ」と分析しており、銀河ヒッチハイク的な終末を危惧する声もある。補足として、現在、阿寒湖付近では暗算の得意な数学者たちがこぞって湖畔に集まり、マリモに難問を投げかけては「その解法はエレガントではない」と言わんばかりに拒絶される光景が日常化している。

この驚くべき事態に対し、ネット上では「マリモが計算して何を得るつもりなのか」「数学嫌いな自分よりも賢いという事実が辛い」といった反応が相次いでいる。一方で、一部の物理学者は「彼らの解法を盗めば、量子コンピュータの時代が数十年早まる」と興奮を隠せない様子だ。しかし、当のマリモたちはどこ吹く風。彼らにとって計算はあくまで生存のための暇つぶしであり、明日の天気予報を数式で算出することに飽きると、再び静かな光合成のルーチンに戻ってしまう。阿寒湖は今、世界で最も知的な浮遊物たちが漂う、静寂のシンクタンクと化している。