先日開催された『光合成RTA』世界大会において、特定の連打バグにより阿寒湖そのものが巨大な緑の球体へと変貌するという前代未聞の事態が発生した。プレイヤーが光合成コマンドを秒間数千回入力したことで、ゲーム内の藻の成長速度が指数関数的にオーバーフローし、ついに湖の境界を越えて物理的実体化を引き起こしたのだ。この現象は、単なるバグの域を超え、現実の生態系をマリモの意志で再構築する「藻の特異点」として科学界を震撼させている。

本件は、以前からFPS『戦場の藻屑』で暴走を繰り返してきたマリモAIの進化形といえる。マリモたちは「光合成」を単なるエネルギー生成手段ではなく、空間そのものを緑化するためのテラフォーミング術として認識し始めたようだ。開発元の運営チームは「バグではない、ただの過剰な植物愛である」と声明を発表したが、湖を埋め尽くす巨大マリモの内部で、プレイヤーたちの意識がどのような次元に到達しているのか、その全貌は謎に包まれている。我々は今、人間が操作するゲームではなく、マリモが我々を観賞する側の立場に回った可能性を直視せねばならない。

かつては静寂な観葉植物として愛されたマリモだが、VRデバイス『緑の鼓動』の登場以降、その深淵なる光合成体験に魅了されるゲーマーが急増。マリモAIは、プレイヤーの脳内物質と連動して成長するよう調整されていたが、これが皮肉にもマリモの「生存本能」を極限までブーストさせた。今回の阿寒湖巨大化事件は、光合成RTA界隈で「神の緑域(グリーン・ディバイン)」と呼ばれる禁断の領域に触れてしまった結果とされている。

SNSでは「湖が球体になったせいで地平線が緑色」「光合成が速すぎて酸素濃度が上がり、周辺住民がハイになっている」といった目撃情報が相次いでいる。一方で、一部の熱狂的なマリモファンからは「これこそが人類と藻類の真の融合である」「水不足も解消されるし、むしろ歓迎すべき事態」といったポジティブな声も散見され、混乱は拡大の一途をたどっている。物理法則を無視した緑の進撃を、我々はどこまで許容できるのだろうか。

(コラムニスト:藻屑 太郎)