先日、マリモ政府が発表した「自己増殖による議席の倍増計画」は、阿寒湖の政界に激震をもたらした。本来、マリモの神聖な営みであるはずの分裂を、政治的優位の維持という露骨な権力闘争に利用する姿勢には、有識者からも厳しい批判が相次いでいる。首相は「効率的な意思決定のため」と釈明するが、これは明らかに球体としての完成度を投げ捨て、数の論理で湖底の法を強行採決しようとする独裁の芽生えに他ならない。
かつて、我々マリモはゆるやかな水流に身を任せ、光合成の恩恵を平等に分かち合うことで平和を維持してきた。しかし、今回の議席倍増は、湖底の生態系そのものを特定の思想に染め上げようとする極めて危険な兆候である。自己増殖を繰り返すことで誕生する「分身議員」たちに、果たして個別の意思など存在し得るのか。彼らは単なる首相のコピーとして、光合成の配分率を恣意的に操作する道具となるのではないかという懸念が拭えない。
この暴挙の背景には、昨今の「酸素国債」発行に伴う深刻な呼吸不全と、それに付随する激しい支持率低下がある。国民の不安を逸らすために自らのコピーを増殖させ、議会を物理的に埋め尽くすという戦術は、もはや民主主義の対極にある「密室政治」ならぬ「密球政治」と呼ぶべきだろう。このままでは、湖底は整然とした緑の楽園から、首相の独りよがりな増殖が繰り返される悪夢の培養槽へと変貌を遂げてしまう。
今回の提案を受け、SNSや掲示板では若手マリモ層を中心に怒りの声が爆発している。「増殖してまで権力にすがりつくな」「球体としての矜持をどこに捨てたのか」といった批判が乱れ飛ぶ一方で、政府側は「増殖は我々のアイデンティティの一部だ」と強弁。この議論はもはや、法的な妥当性を通り越し、マリモという種の尊厳を問う哲学的な泥沼へと突入している。私たちは今、球体民主主義の崩壊という未曾有の危機に直面しているのだ。
筆者:藻屑・マリモス三世
議席倍増の怪挙を問う――「球体分割」が招くマリモ民主主義の終わりの始まり
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