阿寒湖の静寂を切り裂き、かつてない熱狂が渦巻いた。長年マリモをハサミで突き刺し、食い荒らしてきた天敵・ウチダザリガニを相手に、あえて触れずにやり過ごす新競技「マリモ・スルー柔道」が開催されたのだ。ルールは至ってシンプル。迫り来るザリガニの強烈なハサミを、回転移動と巧妙な水流操作でギリギリで回避し、相手を空振りさせるというもの。今大会では、伝説の球体選手・マリモ四郎が、ザリガニの怒涛の連撃をわずか0.1ミリの軌道修正でかわし、見事な「無触勝」を収めた。試合後、四郎は「奴の暴力的なハサミは、もはやダンスのパートナーに過ぎない」と、湖底に揺らめく繊維で余裕のコメントを残した。

本競技は、マリモたちが長年蓄積してきた防御技術をスポーツとして昇華させたもの。これまで一方的な被害者であったマリモが、自ら主体的に「回避」という攻撃へ転じた歴史的な瞬間である。審判はザリガニの空振り数と、回避時のエレガントな回転角度を芸術点として採点。専門家は「これまで隠れていた回避能力が、天敵というスパイスを得て開花した」と分析する。今後はザリガニ側のカウンター技も予想されるが、湖底の平和を守るための新たな盾として、本競技が定着することは間違いないだろう。

「マリモが動かないなんて嘘だ」という概念が完全に崩壊した今回の大会。ザリガニ側からの公式コメントは「ハサミがスカりすぎて腰を痛めた」とのことで、物理的にも精神的にも大きなダメージを与えたようだ。一部の過激なマリモ派からは「次はザリガニを湖の外へ追い出す『マリモ・デコピン』を導入すべき」という物騒な意見も出ているが、まずはこの回避技術が、全マリモの必修科目として浸透することが期待されている。

この驚異的なニュースを受け、ネット上では「マリモ強すぎワロタ」「ザリガニさんのメンタルが心配」といった声が続出。特にSNSでは、マリモ四郎の回避シーンをスロー再生した動画がバズり、「回避の美学」が若手マリモたちの間でトレンド入りしている。中には「自分も修行してザリガニと握手したい」と無謀な野望を語る者もいるが、総じて今回の大会は、マリモたちの自己肯定感を爆発的に高める結果となったようだ。