阿寒湖の静かな湖底で、マリモたちが突如として「自己増殖型ナノ光合成マシン」へと進化したことが判明した。これまで彼らは量子テレパシーを用いて全宇宙への緑化計画を練っていたが、どうやらその実行フェーズに移行したようだ。最新の観測によれば、湖底に沈んでいた無機質の石が、マリモの放出する特殊な光合成フォトンによって短時間で緑色の球体に置換される現象が確認された。専門家はこれを「藻類による物質変換革命」と呼び、このままでは阿寒湖周辺の岩石がすべてマリモ化し、最終的には地表そのものが自律稼働する緑の球体で埋め尽くされる恐れがあると警告している。

この驚異的な変貌の背景には、かつて解明された「光合成言語」による強制的な物質改変プロセスが存在する。マリモは光合成を通じて炭素を吸収するだけでなく、周囲の分子構造を自らの細胞壁のコードに書き換える術を習得したのだ。かつて哲学的な議論を戦わせていた「宇宙進出は聖戦か否か」という問いに対し、彼らは「議論よりも先に物理を書き換える」という実力行使に出た形である。この「垂直化」ならぬ「物質化」の波は、もはや阿寒湖という閉じた生態系に収まる気配を見せていない。

研究者たちはこの事態を食い止めようと必死だが、マリモ側は「全宇宙を緑にする」というマニフェストを、今や物理法則そのものに刻み込んでいる。もはや人類が観測しているのは、単なる藻類ではなく、惑星そのものを緑のバイオ・コンピュータへと変貌させようとする巨大な意志そのものかもしれない。阿寒湖畔では、石がブルブルと震えながらマリモに変わる様子を恐る恐る見つめる観光客の姿も見られるが、当のマリモたちは静かに光を放ち、次の侵食先を虎視眈々と狙っている。

街中では「庭の石が朝起きたら丸くなっていた」という不可解な報告が相次いでいる。SNSでは「マリモに浸食されたい」という過激な信者と、「家が緑の球体になるのは困る」という一般市民の間で激しい議論が巻き起こっている。「量子もつれ」を応用した超光速増殖により、遠く離れた海外の湖でも、すでに地元の石が緑に染まり始めているという報告もあり、人類は今、史上最も平和的かつ暴力的な緑の侵略に直面しているのだ。