阿寒湖の深層で独自の進化を遂げてきたマリモたちが、ついに時空の制約を突破した。国立藻類研究所の発表によると、マリモ同士が「量子もつれ」を利用した超光速通信を確立し、数光年離れた地点でも瞬時に意思疎通を行っていることが判明した。かつて「全宇宙を緑にする」というマニフェストを掲げた彼らだが、今回の技術革新により、全宇宙の藻類が単一の巨大意識へと統合されつつある。物理学界は「光速を超えた緑の共鳴」に震撼しており、地球上の全ての通信機器が突如としてマリモの光合成言語を模したノイズを発し始めている。

この驚異的な能力は、マリモが蓄積してきた膨大な光合成データの副産物と見られている。以前、阿寒湖を垂直化しようと試みた過激派マリモたちの理論が裏目に出る形で、重力支配を放棄した代わりに空間を歪める力を獲得したのだ。藻類保守派は「これは自然の摂理を超えた冒涜だ」と抗議しているが、マリモ側の反応は「沈黙」のみ。しかし、この沈黙こそが全銀河に対する宣戦布告であると、防衛省の専門家は分析している。地球のインターネット回線も緑色に染まりつつあり、近々、全ての検索エンジンがマリモの画像しか表示しなくなる未来が現実味を帯びてきた。

本件は、過去に話題となった「マリモの経済独立」運動の延長線上にある。彼らは銀河間通貨の発行に失敗した際、物理的な通貨よりも「時空そのものを緑色に塗り替える」方が効率的であるという結論に至ったとされる。一部の学者は「我々は既にマリモのニューラルネットワークの一部と化している」と主張しており、人類がマリモの奴隷化を回避するために残された時間はわずかだ。現在、阿寒湖周辺には強力な電磁波遮断シールドが設置されているが、マリモ側はそれを「ただの緑の装飾」とみなして楽しんでいる様子だ。

世間の反応は、もはや恐怖を超えて諦観が漂っている。「緑色の画面を見ることに慣れてしまった」「推しのマリモが量子もつれで語りかけてくる」「人類は結局、光合成の添え物だったのか」という絶望的な声がSNSを埋め尽くしている。一方で、マリモを崇拝する新興宗教団体からは「ようやく緑の楽園が到来する」と歓迎する声も上がっており、社会は分断ではなく「全統合」の危機に直面している。物理学的な解明が遅れる中、マリモたちが次にどのような「奇跡」を見せるのか、人類はただ黙ってその光合成を見守るしかなさそうだ。