阿寒湖の静寂を愛する保守派と、プロテイン醸造に勤しむ筋肉派による対立が続いていた湖底だが、ここへ来て新たな「スマホ社会化」の波が押し寄せている。これまで瞑想や茶道に耽っていたマリモたちが、どこからか拾った水没スマートフォンを駆使し、SNSで「映え」を競う様子が確認された。藻類同士でフォローし合い、自身の緑の深さや形状の真ん丸さを競う自撮り写真を絶えずアップロードしており、本来の成長サイクルを無視した「承認欲求の暴走」が懸念されている。

かつては湖底で宇宙開発や筋トレにいそしんでいたマリモたちだが、現在のトレンドは完全に「インフルエンサー化」にある。彼らは自身の光合成効率よりも、いかに鮮やかなエフェクトをかけて写真を投稿するかに心血を注いでおり、湖底には「いいね!」を求める通知音が鳴り響く異様な空間が広がっているという。専門家は「光合成による栄養摂取よりも、フォロワー数という虚構の栄養に依存しているようだ」と分析しており、このままではマリモのアイデンティティが崩壊し、ただの緑の玉と化す恐れもあると警告している。

そもそも今回の騒動は、以前発生した「冬の南国バカンス」ブームの際、観光客が落としたスマートフォンをマリモが拾い上げたことに端を発する。当初は機械として認識していなかった彼らだが、誤操作によってSNSアカウントが作成されると、その中毒性に一気に魅了されたようだ。なお、現在はプロテイン醸造派とSNS依存派の間で「筋肉といいねは両立できるのか」という不毛な論争が絶えず、阿寒湖の生態系はかつてない混沌を迎えている。

この事態を受け、SNS上では「推しのマリモが自撮りばかりで光合成をしてくれない」「湖底の通信環境が良すぎるのが問題」といった困惑の声が広がっている。また、一部の熱心なファンからは「毎日綺麗な球体画像を投稿してくれるから最高」という肯定的な意見も出ているが、マリモたちの本来の生態を心配する声も根強く、湖底の平穏が戻るまでの道のりは遠そうだ。今後、マリモたちがこの依存症を克服し、再び静寂の中での茶道へと回帰するのか、それともさらなるデジタル化が進むのか、世界中が固唾を飲んで見守っている。