阿寒湖のマリモたちが光合成言語を駆使して独自の「銀河間通貨」を発行し、地球経済からの完全独立を宣言したというニュースは、一見すると藻類の躍進のように思える。しかし、経済学的な視点から見れば、これは極めて危険なバブル経済の兆候に過ぎない。マリモの価値を担保するのが単なる「日光の照度」と「水流の揺らぎ」である以上、銀河規模での信用取引は成立しない。光合成という不確定要素を裏付け資産とするのは、無担保の「藻類国債」をばら撒く行為と同義であり、遠からず全銀河的な信用不安を招くことは火を見るよりも明らかだ。

本件の背景には、阿寒湖の特殊環境を利用した投機的な動きがある。光合成効率を人為的に操作し、意図的に通貨量を増大させる「光合成マイニング」なる手法まで確認されており、これはもはや自然の営みを超えた金融犯罪に近い。銀河間通貨の導入は、地球を「マリモ経済圏」というカルト的な枠組みに閉じ込める試みであり、我々哺乳類が藻類の通貨政策に従属させられる未来を許してはならない。通貨の価値とは、信頼と汗(あるいは代謝物)の上に築かれるべきであり、ただ湖に浮かんでいるだけで発行益を得るシステムは、労働という概念そのものを破壊するテロリズムである。

世間の反応は二分されている。経済学者たちは「藻類による経済乗っ取り」と危機感を強める一方で、一部のネット民からは「マリモコインで阿寒湖へ行こう」という無邪気な投機熱が過熱している。街頭インタビューでも「マリモの方が人間より信頼できる」「光合成で生活できるなら働きたくない」といった、勤労意欲の喪失を物語る意見が相次いでいる。この状況が続けば、日本のGDPはマリモの代謝量に完全に依存する事態となり、曇りの日には株価が暴落するという前代未聞の経済崩壊が引き起こされるだろう。

コラムニスト:藻屑 拾郎