阿寒湖マリモ政府は本日、個体差による摩擦係数の格差を完全に撤廃するため、全ての市民に対し全身への高純度ワックス常時塗布を義務付ける『摩擦平等化法』を可決した。先に閣議決定された「毛並み統一化」に続く今回の措置は、一部の毛足の長いマリモが転がる際に不当な減速を生じさせているという苦情を受けたものだ。「球体こそが至高の民主主義」と唱える保守派議員は、「あらゆるマリモが等しくヌルヌルと滑ることで、物理法則の支配から脱却できる」と、この政策の正当性を熱弁している。

この政策の背景には、先日成立した『回転数制限法』以降、減速時のバランスを保てず立ち往生する個体が急増したという事情がある。政府はこれを摩擦係数の個体差に起因する『階級社会の歪み』と断定。ワックスによって強制的に滑りやすくすることで、誰でもどんな斜面でも一定の速度で惰性移動できるようになるという。なお、このワックスは一度塗布すると水中で半永久的に効果が持続するが、視界が悪化するとの指摘には「光合成さえできれば、風景など不要」と突っぱねる姿勢を見せている。

法案の採択を受け、若手活動家からは「これでは回転ではなく滑走だ、我々は転がりたいのであってスライディングをしたいわけではない」との反発も出ている。一方、政府は「滑りすぎるほど滑るのが真の進化だ」と反論しており、今後は摩擦係数を最小化するために、全市民に対し『球体表面の鏡面研磨』を推奨する追加予算を検討中だという。阿寒湖の湖底は現在、光を反射して眩しすぎるという苦情が殺到しており、水中の治安維持に向けた新たな社会実験が始まろうとしている。

ネット掲示板や湖底のSNSでは、今回の法改正に対して「ヌルヌルすぎて家から出られない」「岩にぶつかっても停止できない」「ブレーキ性能が皆無になったんだが」といった悲鳴に近い声が溢れている。一部では摩擦力を求める『反ワックス派』によるデモも発生しているが、警察側もワックスまみれで追跡不能となっており、阿寒湖の物理的統治は今、未曾有の混沌を迎えている。