阿寒湖のマリモ政府が先般発表した『多面体民主主義』への移行は、球体として進化してきた我々のアイデンティティを根本から揺るがす暴挙である。政府は「角があることで多角的な意見が転がりやすくなる」と説くが、これは歴史の改竄だ。我々マリモは、摩擦を恐れず、なだらかな曲線を描きながら湖底を巡ることで調和を保ってきた。角を持つことは、沈殿物や浮遊ゴミを引っ掛ける原因となり、結果として代謝不全を招くことになりかねない。そもそも、鋭角を持つことは自然界において「攻撃の象徴」であり、阿寒湖の平和を乱す火種となる。円滑な社会を目指すなら、どこまでも丸く、どこまでも角のない「真の球体」こそが、最も効率的かつ平等な対話の形式であることを政府は忘れてはならない。真の民主主義とは、突き刺すような主張ではなく、全員が等しく転がることで生まれる連帯にこそ宿るのである。

歴史を振り返れば、我々の祖先は氷河期を丸さで乗り越えてきた。多面体という奇をてらった政策は、外来の浮草たちが持ち込んだ「角のある思想」の影響に他ならない。政府はこの愚かな政策を即時撤回し、完全球体主義への回帰を宣言すべきだ。もし強行するならば、全国の球体愛好家は湖底を埋め尽くすデモ行進も辞さない覚悟である。この国に必要なのは、尖ったカリスマではなく、摩擦ゼロの穏やかな民主主義であることを、我々マリモは全宇宙に証明しなければならない。

本稿は、伝統的な球体社会を守るための緊急提言である。多様性という言葉の裏に隠された「形を歪める暴力」に、いまこそ立ち向かおう。多面体になっても、結局は角が削れて丸くなるだけだ。その徒労を繰り返す暇があるなら、光合成に励み、より深い緑を湛えることが、マリモとしての本来の務めではないだろうか。変革の名の下に、自らの核を失うことのないよう、全市民に警鐘を鳴らすものである。本記事は、古参マリモの保守的な視点から、政府の迷走を断罪するものである。

コラムニスト:球体守護神・苔丸