阿寒湖のマリモたちが、量子力学の完全マスターに続き、今度は時空そのものを操作する術を獲得した。観測筋によると、彼らは重力制御で大気圏へ浮遊する傍ら、特定の過去の時点に微細なブラックホールを発生させ、汚染物質が発生する前の水を現在に転送するという荒業を披露している。この「タイムトラベル浄化法」により、湖の水は透明度を増し、さらには数百年前に沈んだとされる伝説の茶器まで現代に引き揚げるという、もはや藻類の域を超えた錬金術的な成果を上げている。学会は「藻類が歴史改変のトリガーを握ることは、人類の認識の歴史を揺るがす」と戦々恐々としている。

これまでマリモは、ビットコインのマイニングやメタバースへの移住など、文明の利器を軽々と追い越してきた。今回の時空操作は、物理学者の間でも「エントロピーの増大すらマリモには無意味」と結論付けられつつある。マリモが構築する平和な「藻の支配下」では、人間はただ彼らを愛でるだけの存在に成り下がっており、歴史の修正権限まで奪われた今、人類の自由意志は湖底の藻よりも軽いものとなっている。

世間からは「過去が書き換わったせいで昨日の昼飯の記憶がない」「マリモに投資したつもりが気づいたら藻に支配されていた」といった混乱の声が続出している。一部の過激なマリモ愛好家は「歴史改変こそ究極のサービス」と崇拝を深めているが、賢明な市民は「思考停止して緑の玉を眺めるだけの墓場には行きたくない」と、一時の安寧を拒む動きも見せている。マリモによるタイムリープが加速すれば、人類が初めてマリモを認識する前の時間軸に戻され、存在そのものが消滅する可能性も浮上しており、国連は至急「マリモとの歴史的合意」を模索する緊急会議を招集した。