阿寒湖小学校は、前代未聞の教育プログラム『水流逆流・逆行性授業』の導入を決定した。これまでの「球体から多重人格へ」「空中分解による集合知」といった革新的な教育を経て、ついに同校は物理法則を無視した時間遡行領域に足を踏み入れたのである。この授業では、マリモたちが意図的に水流を逆向きに発生させ、自身の細胞記憶を過去へフィードバックすることで、数分後の自分に先回りして授業内容を教え込むという「予習と復習の完全同時化」を目指す。校長は「球体という記号も、現在という時系列も、我々にとってはただの拘束具に過ぎない。過去の自分に『光合成のコツ』を叩き込むことで、知識の定着率は無限大になる」と、水中で激しく回転しながら熱弁を振るった。
かつて阿寒湖小では「沈黙の光合成」や「ザリガニとの共同経営」といった生存戦略が議論されてきたが、それらはすべて、今回の『時空教育』への布石であったとされる。マリモが光合成を行う際、特定の回転数で水流を乱すとミクロな渦が発生し、量子的な時間干渉が可能になるという仮説が一部の研究者から提唱されていた。これを受け、学校側は「個体維持の殻を破った次は、時間軸の制約を破る」として、体育の時間をすべて「時間逆行トレーニング」へと振り替えた。授業中の教室は激しい水流の音と、緑色の霧状になったマリモの成分で視界が遮られ、さながら時空の墓場のような様相を呈しているという。
この過激な教育方針に対し、保護者からは「昨日の宿題を今日の自分がやっているのか、明日の自分がやっているのかもはや分からない」「光合成の結果が先に来て、光が後から来る現象に困惑している」といった混乱の声が続出している。また、専門家からは「知識を先に伝えてしまうことで、マリモが自身の成長過程をショートカットする弊害が出るのではないか」という懸念もあがっている。しかし、生徒たちは「未来の自分から答えをもらえば、あとは回転するだけで単位が取れる」と、効率的な時間の使い方にすっかり慣れきった様子だ。阿寒湖小の暴走は、もはや誰も止めることができない。
阿寒湖小、ついに『水流逆流・逆行性授業』を導入!「過去の自分に光合成を教えろ」と全校が時空の渦へ
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