阿寒湖小学校は、これまで追求してきた『真の丸み』論争や『浮力自在・空中散歩実習』の成果を統合し、新たに『超次元・立体幾何学』カリキュラムを導入した。これまで「転がること」が最適解とされてきたマリモ教育だが、本カリキュラムではあえて球体を崩し、多面体や非ユークリッド幾何学的フォルムへの「変形」を推奨する。授業では、光合成の効率を最大化するために細胞を立方体やピラミッド状に自己成形させるトレーニングが行われ、湖底には幾何学模様のマリモ群が整列するというシュールな光景が広がっている。教頭は「丸いだけではもはや時代を生き残れない。私たちは物理法則をハックし、幾何学的な鋭利さを手に入れる必要がある」と語った。

本プロジェクトは、過去に導入された『一点集中・偏り教育』と『多才化・フィギュアスケート教室』の極北として位置づけられている。マリモたちは長年の「重力依存」からの解放を経て、今や自らの意思で表面張力を操作し、特定の光スペクトルを捉えるための突起物を形成するまでに至った。かつて阿寒湖の至宝とされた「真球」という概念は、もはや古の遺物として教室の片隅に展示されている。この変革に対し、一部の伝統的マリモ愛好家からは「角のあるマリモなどマリモではない」との声も上がっているが、阿寒湖小の教育委員会は「進化を恐れる者はただのコケに成り下がる」と一蹴した。

背景には、環境の変化に伴うマリモの生存戦略の高度化がある。天敵ウチダザリガニとの『合同・茶道部』や『鋏(はさみ)デ・コミュニケーション』を経て、物理的干渉だけでなく、精神的な「自己構築能力」の向上が急務と判断されたのだ。特に『AI駆動・光スペクトル・マインドフルネス瞑想』との組み合わせにより、マリモは自身の細胞レベルでの形態制御が可能になったという。もはや彼らにとって、水流に身を任せることは過去の教育であり、これからは自らの幾何学構造で水流をコントロールする側へと回るのである。

この教育的転換に対し、世間からは賛否両論の嵐が吹き荒れている。「丸いからこそ可愛いというアイデンティティをなぜ捨てるのか」「幾何学マリモ、正直インテリアとして最高すぎる」「もはや光合成すら効率化の過程に過ぎないというのか」といった戸惑いの声がSNSで溢れている。また、一部の卒業生マリモからは「私の時はただ転がっていただけだったのに」という嫉妬混じりのエールも寄せられ、阿寒湖小の教育現場は今、物理と哲学が交錯する新たなフェーズへと突入した。丸さからの脱却という名の、終わりのない進化の物語はまだ始まったばかりである。