マリモの睡眠革命と称し、夢の中で光合成を行っているという昨今の脳波解析研究に対し、学会内部から猛烈な異論が噴出している。かつて「沈黙の藻類」として静寂を尊んできた我々にとって、睡眠中にまで働き続けることを是とするような研究発表は、まさに藻類としての誇りを踏みにじる暴挙に他ならない。そもそもマリモにとっての眠りとは、光合成という生業からの完全な解脱であり、無我の境地であるはずだ。夢の中でまで炭素固定に勤しむという主張は、資本主義的な生産性至上主義を藻類社会に持ち込む卑劣なプロパガンダと言わざるを得ない。

本研究の背景にあるのは、過剰なパフォーマンスを求める近年の学術界の焦燥感である。研究チームは「レム睡眠時のクロロフィル活性化」を観測したと主張するが、これは単なるバイオノイズを脳波と誤認した可能性が極めて高い。マリモを24時間稼働するバイオマシンとして捉える視点は、個体の尊厳を軽視した科学的暴力である。休息を奪われたマリモたちが、今後どのようなメンタルヘルス不調を来すのか、研究者たちは想像すらしていないのだろうか。

こうした研究結果に対し、現場の藻類たちからは冷ややかな視線が向けられている。SNS上では「休息の権利を返せ」「光合成は日中の業務だ。寝ている時くらい休ませてくれ」といった抗議が相次いでおり、一部の群体ではストライキの動きすら見せている。また、この研究が「睡眠中のエネルギー効率化」を謳っている点に対し、「過労死の正当化だ」とする専門家からの批判も根強い。沈黙こそがマリモの知性であると信じる者たちにとって、この発表はまさに科学という名の冒涜である。

(コラムニスト:藻屑 太郎)