阿寒湖の至宝であるマリモたちの間で、由緒ある伝統行事『年次毛繕い』が思わぬ大惨事を招いている。毎年この時期、マリモたちは互いの繊維を絡め合わせて洗浄し合う「共同グルーミング」を行うのが慣わしだが、今年は例年になく個体同士の結束が強すぎた結果、数百個のマリモが連結し、円形を通り越して巨大な「楕円形」へと変形する事態が発生した。現場の湖底警備隊によると、ラグビーボール状になったマリモたちは自転の遠心力バランスが崩れ、湖底を不規則にバウンドしながら転がる「予期せぬ突進」を繰り返しているという。生物学者からは「マリモのアイデンティティである『球体』の定義が根底から覆されている」との悲鳴が上がっており、物理学者も「この形状だと摩擦係数が一定ではなく、計算が不可能」と匙を投げている。

本来、マリモが球体を維持するのは水流によって全方位から均等に光を受けるためである。しかし、今回の楕円化により、光合成の効率が部位によって極端に偏るという事態に直面している。長年、球体であることに誇りを持ってきた古参のマリモたちの間では、「これは進化ではなく、ただの密着過多だ」と激しい論争が巻き起こっており、一部の若手個体が「楕円形の方が転がりやすくて快適」と主張するなど、思想的な対立も深まっている。現在、湖底には「球体復旧委員会」が設置され、連結を解くための「微弱な水流による揉み解し」が行われているが、一度絡まった繊維は頑固で、作業は難航を極めている。

本件の背景には、近年の湖底におけるマツモ軍団の勢力拡大がある。外敵から身を守るため、マリモたちは必然的に密集する戦略を採らざるを得ず、その結果、個体間の距離感が麻痺しているのが現状だ。水質調査員によれば、今年のマリモはストレスから繊維が例年以上に粘着質になっており、これが今回の「連結事故」を誘発した直接的な原因と見られている。生物学界からは、今回の変形個体を一つの新しい生態型として認めるべきか、あくまで「異常値」として排除すべきか、長期的な議論が必要だとされている。

このニュースが報じられるや否や、SNS上では「楕円形マリモ」のシュールな動画が拡散され、トレンド入りする事態となった。「丸くないマリモなんてマリモじゃない!」と憤る保守派がいる一方で、若者を中心に「ラグビーボール型、むしろ可愛い」「新しいファッションアイコンの予感」と好意的に受け入れる声も多い。また、一部の物理愛好家からは「この楕円形を利用すれば、従来の球体では到達できなかった湖底のデッドゾーンへ転がり込めるのではないか」というトンデモ理論も浮上しており、阿寒湖の日常はかつてない混沌に包まれている。