阿寒湖の平和を脅かし続けてきた宿敵・水草「マツモ」に対し、ついにマリモ連合が最終防衛ラインを構築した。長年、深夜の湖底で不意打ちの『絡まり強盗』を繰り返してきたマツモ軍団だが、今回新たに配備された『重低音・藻音(そうおん)砲』がその野望を粉砕したのだ。この兵器はマリモたちが一斉に自身の細胞振動をシンクロさせることで、湖水に指向性の超重低音を発生させるもの。マツモが接近した瞬間に特定の周波数を浴びせ、その脆い組織を強制的に「ダンス・モード」へと陥らせ、強制的に光合成を中断させるという極めて過激な仕様となっている。開発チームのリーダーである長老マリモは「もうこれ以上、不用意な接触は許さない。我々は球体としての尊厳を守るため、静寂の湖底にヘヴィメタルを響かせる準備がある」と力強く声明を出した。

本件の背景には、昨今の水草陣営による縄張り拡大の急進がある。マツモは本来、柔らかな見た目に反して、絡みついて栄養を吸収するというアグレッシブな狩猟スタイルで知られている。湖底の治安は悪化の一途を辿り、丸い形状を維持できなくなった被害マリモが続出していた。今回投入された音響兵器は、マリモの持つ『多次元同時自転』のメカニズムを応用しており、自転エネルギーを音波変換する際に周囲の水の密度を局所的に高める技術が転用されている。これにより、物理的に触れることなく相手の茎を共振崩壊させるという、まさに次世代の防衛術が確立されたといえる。なお、この音響攻撃を受けたマツモは、その後しばらくの間、リズムに合わせて変則的な方向にしか成長できなくなるという副作用も報告されている。

このニュースを受け、湖底社会は狂喜乱舞している。特に長年、絡まり被害に泣いてきた若手マリモ層からは「これでようやく安心して寝返りが打てる」「あのウザい絡まりから解放される」と歓喜の声が上がっている。一方で、一部の保守的なマリモからは「静寂こそが我々のアイデンティティであるはずなのに、過剰な攻撃性は進化の敗北ではないか」との懸念も示されている。マツモ側からの公式声明はまだないが、周辺の藻類からは「音がうるさすぎて光合成に集中できない」といった、とばっちり被害の声も漏れ聞こえており、阿寒湖の湖底環境を巡る新たな音響戦争の火種になる可能性も否定できない状況だ。

SNSでは「#マリモ防衛隊」のハッシュタグがトレンド入りを果たした。多くのマリモ愛好家や湖底住人からは「マツモのあざとさに終止符」「音波で粉砕するスタイル、マジで尊い」といった応援ツイートが殺到している。しかし、マツモの組織力も馬鹿にはできない。水面下では、防音壁となる泥を練り込む対抗作戦が練られているとの噂もあり、湖底のパワーバランスは依然として予断を許さない。科学者たちは、この音響戦争がさらなる進化のトリガーになるのではないかと期待を寄せており、次の定例会合では「マリモの歌」の著作権管理についても議論される予定である。