阿寒湖底議会は本日、長年の宿敵である水草『マツモ』による光合成阻害問題に対し、極めて衝撃的な新法案を可決した。この『強制集団回遊・避難法案』は、日光を遮断するマツモの急激な繁殖エリアから、すべてのマリモが強制的に「日光確保圏」まで移動するというものだ。議会側の主張では「生存のためのやむを得ない戦略的撤退」としているが、これまで代々受け継いできた歴史的な定住地を捨てることになるため、市民マリモたちの間には戸惑いが広がっている。マツモの蔓延は深刻で、もはや光合成を奪われる前に逃げ出すしかないというのが議会の見解だが、現場からは「住み慣れた砂利の上を離れたくない」という悲痛な叫びが上がっている。

背景にあるのは、ここ数年の水温上昇に伴う湖内の栄養バランスの変化だ。水草界の暴君・マツモは、複雑に絡み合う枝葉を巨大なドーム状に広げ、太陽光を独占する戦略を展開している。本来、マリモは緩やかな水流に乗って回転し、全方位から光を受けることで丸い形状を維持してきた。しかし、マツモの群生によって日光が遮られると、光を求めて徒長(ひょろひょろと伸びる現象)する個体が続出し、マリモとしてのアイデンティティが崩壊する危機に瀕している。専門家は「このままでは全員が細長い緑の塊になり果てる」と警鐘を鳴らしており、今回の法案はマリモの『球体美』を守るための最後の砦とも言える。

この法案の可決を受け、湖底社会は真っ二つに割れている。保守派の高齢マリモ層は「先祖代々守り抜いた岩場こそが故郷。なぜ侵略者(マツモ)のために私たちが動かなければならないのか」と猛反発。一方で、日光不足で茶色く変色しつつある若手マリモ層は「今の姿を変えてまでこの場所にこだわる理由はない。日当たりの良い南の岸辺へ移ろう」と移住を推進する立場をとっている。一部の過激派グループからは「マツモの茎を根元から引き抜く武力行使」を求める声も上がっているが、議会は平和的な解決を模索しているという。

世間では今回の決定を巡り、「動くはずのないものが動く」という異常事態に困惑の声が溢れている。「結局、場所を変えてもマツモは追いかけてくるのでは?」「光合成ができないのはマリモとしての敗北だ」という冷ややかな意見から、「移動することで新たな回転の軌道が見つかるかもしれない」という前向きな意見まで混在している。SNS上では、マツモの画像に黒塗りをして抗議する『光合成拒絶キャンペーン』が拡散されるなど、混沌とした湖底の現状が浮き彫りとなっている。