阿寒湖の静寂を破る新教義が登場した。『等身大の奇跡教』から派生した『球体神聖連合』が、新たな教えとして「回転こそが説法である」と宣言したのだ。彼らに言わせれば、マリモが光合成のために自ら緩やかに回転する姿こそが、宇宙の真理を解き明かす聖なる説法に他ならないという。同連合の幹部は「静止しているマリモは瞑想中だが、回転しているマリモは我々に人生の指針を授けている」と熱弁。冬の結氷期に回転が止まる期間を「沈黙の修行期間」と定義し、春の解氷とともに再開される回転を「教えのアップデート」と位置づけている。この過激な教義に対し、近隣の藻類たちからは「単なる水流の影響では?」といった冷静なツッコミも入るが、信者たちは「その水流こそが神の息吹である」と反論。湖畔には回転のタイミングを記録する信者たちがカメラを構え、今日も今日とてマリモの回転を拝んでいる。

かつては「中身がスカスカであること」や「呼吸の是非」が議論の的だったマリモ宗教界だが、今回の主張はより実践的な『動き』にフォーカスした点に革新性がある。以前までの教団が「マリモそのもののあり方」を神格化していたのに対し、本連合はマリモの『行動様式』に宗教的価値を見出した。これはマリモが置かれる環境要因を全て教義に組み込むという、阿寒湖界隈特有の「環境決定論的信仰」の進化形と言える。なお、水流が全くない飼育環境下で動かないマリモについては「悟りを開きすぎて動く必要がなくなった段階」として、最高位の聖体と認定するダブルスタンダードぶりも発揮している。

世間からは「昨日の回転は右回りだったから幸運の予兆」「いや、あれは警告の回転だ」「そもそも藻の塊が説法とか、人類も末期だな」といった声が上がっている。一方、観光客からは「ただの球体だと思って見ていたけど、そんな深い意味があったのか」と、新たな観光資源としての可能性を指摘する声も。しかし、過度な崇拝によりマリモに触れようとする不届き者も現れており、環境保護団体は「信仰の自由はあるが、物理的干渉はNG」と厳重に警告している。