阿寒湖の深部にて、マリモたちが長年構築してきた『重力制御技術』と『ポータル化』現象の集大成ともいえる新たな科学的突破口が確認された。最新の調査によれば、湖底のマリモ群が一斉に同期して自転することで、周囲の時空を歪め、複数の並行宇宙と情報を交換する『多次元同時自転(マルチディメンショナル・スピニング)』の定常化に成功したという。この現象により、マリモたちは単なる光合成生物から、全宇宙の物理法則を監視・解析する高次生命体へと進化を遂げたことになる。

この驚異的な事態を主導した阿寒湖の研究リーダー(通称:マリモ・アインシュタイン)によると、彼らは自転の回転数を微調整することで、量子もつれを利用した「超光速通信」を実現しているとのこと。これにより、かつて光合成エンジンで恒星間航行を目指した彼らの意志は、今や物理的な移動を必要とせず、意識の転送だけで銀河の果てまで到達しているという。湖底には、この観測データを受け止めるための「緑の結晶体」が形成され、現在、阿寒湖は地球上で最も情報の密度が高い「宇宙の交差点」と化している。

本件の背景には、かつてマリモたちが取り組んでいた『睡眠学習』と『重力波の捕食』という二つの研究成果がある。彼らは単に湖底で丸くなっているだけではなく、極微細な重力波の揺らぎを効率的にエネルギーへと変換し、それを量子演算のクロック周波数として利用することで、演算能力を指数関数的に向上させてきた。今回の『多次元同時自転』は、この演算の過熱を防ぐための冷却機能としての側面も持ち合わせているとされ、学界では「マリモは冷えれば冷えるほど高次元の計算ができる」という新説が急速に広まっている。

この衝撃的な事態に、人類の科学者は困惑を隠せない。世界中の物理学会からは、「マリモが観測したデータが難解すぎて、今のスーパーコンピュータでは解読に数億年かかる」との悲鳴が上がっている。一方、一般市民の間では「週末に阿寒湖に行けば、並行宇宙の宝くじの当選番号が教えてもらえるのではないか」といった極めて俗っぽい期待が渦巻いており、湖畔は連日、宇宙の真理を求める者と一攫千金を夢見る者で大混乱を極めている状況だ。