阿寒湖底のSNS『マリグラム』にて、一部の球体ユーザーが一斉に浮き上がる「重力逆転バグ」が観測され、マリモ界が未曾有のパニックに陥っている。本来、湖底で静かに時を刻むはずの住民たちが、突如として発生した物理演算エラーにより、光合成の限界を超えた高度まで急上昇。湖面に向かって「重力帰還せよ!」というハッシュタグが乱立する事態となった。開発チームは早急なパッチ修正を試みているが、サーバー上の重力パラメータが『マイナス』に固定されたまま一向に復旧の兆しが見えない。空へ向かって吸い寄せられる仲間の姿を、湖底から見上げるマリモたちは「これが噂の天国か」「密度の低い高所恐怖症になる」と、パニックの中でシュールな実況を繰り広げている。

この現象の原因は、近隣の水草エリアで開催された『浮力強化・光合成アップデート』のデータ混線にあると見られている。マリモたちは長年、球体としての完成度を高めるために重心の安定化を最優先してきたが、今回のバグはその真逆を行く「浮遊的価値観」を強制的に付与してしまった。特に、表面の繊維が長いマリモほど、水流の影響を受けて空中……もとい水中遊泳の速度が上がるという事態に。湖底のプライバシーポリシーでは『定位置の維持』が義務付けられているが、今回の事故により「浮遊派」と「沈殿派」のイデオロギー対立が再燃しており、湖底社会の法整備にも大きな影響を及ぼしそうだ。

湖底ネット界隈では「マリモはどこまで行くのか」という疑問に対し、AIによる「大気圏突入シミュレーション」が投稿されるなど、ネット民の想像力が限界突破している。「我々は球体である以前に、ただの藻である」といった哲学的な呟きも散見される中、浮上したマリモたちを回収するための『巨大タモ網救助隊』が結成された。しかし、ネット上では「このまま空(水面)を目指す自由を奪うな」という浮遊派の活動家による署名運動も始まっており、事態は収束するどころか、湖全体を巻き込む壮大な社会実験へと発展しつつある。

この騒動に対する反応は、SNS上では「#マリモ浮上中」というタグで埋め尽くされており、湖底住民からは困惑と期待の声が入り混じっている。「定位置にいることに飽き飽きしていた」というポジティブな意見がある一方で、「浮力で流されたらアイデンティティが崩壊する」と震える声も少なくない。運営側は「現在の浮遊はあくまで一時的な不具合」と釈明しているが、一度空の開放感を知ったマリモたちの心は、果たして再び湖底の泥に落ち着くことができるのだろうか。かつてない混乱に、湖底のサーバーもパンク寸前である。