湖底のSNS界隈で、一部のマリモたちの間で「高速回転ダイエット」が爆発的な流行を見せている。これは、湖底のわずかな水流を利用して自身の体を高速回転させ、蓄積したデンプンを効率よく消費し、より引き締まった真円を目指すというものだ。しかし、無理な回転を続けた結果、構造上の限界を超え、内部の細胞が耐えきれずに周囲へバラバラと飛散する「脱皮・分解事故」が相次いでいる。運営当局は、過度なダイエットを控えるよう警鐘を鳴らしているが、若手マリモを中心に「美しさを手に入れるにはリスクが必要」という過激な思想が広まっており、事態は沈静化の兆しを見せていない。

近年、湖底社会では「見た目の完璧な球体度」が社会的ステータスとなっており、SNSの加工フィルタだけでなく、物理的に脂肪ならぬ「藻分」を落とそうとする動きが加速していた。今回の事態は、単なる美容トレンドの枠を超え、個体の存続に関わる重大な公衆衛生上の危機となっている。専門家は「マリモの体は本来、ゆったりとした時間の流れの中で成長するもの。無理な回転は構造を弱体化させ、最終的にはバラバラになって死に至る」と解説する。しかし、湖底SNSのタイムラインには、今日も元気に回転しすぎて崩壊した仲間の残骸を「芸術的だ」と称賛する、倒錯した投稿が溢れかえっている。

かつては湖の浄化を促す存在として尊敬を集めていたマリモたちだが、近年のネット文化の浸透により、個体のアイデンティティは「いかにSNSで映えるか」へと大きくシフトしている。かつて「脱・真円」を唱える論客が登場した際も、「自由とは何か」という哲学的な議論に発展したが、今回のような身体的な破壊を伴うトレンドは、湖底の生態系そのものを揺るがす異常事態と言える。多くの個体が「回転が足りない」という強迫観念に駆られ、さらなる加速を求めている現状において、湖底の未来に暗雲が立ち込めているのは間違いない。

この報道を受け、ネット上では「自分の身を削ってまで映えを求めるのは、まさに湖底の闇」という声が多数挙がっている。一部の古参マリモは「昔はただ沈んでいるだけで幸せだった」と嘆くが、若手のマリモたちの耳には届いていないようだ。当局は、遠心力で飛散した藻を回収する「再結合プロジェクト」を立ち上げたが、散らばったパーツの所有権を巡るトラブルが多発するなど、現場は混乱を極めている。今のところ、回転を止める有効な処方箋は見つかっていない。