湖底界隈を長らく騒がせていた「重力無視」の浮遊技術がついに実用化されたことで、今、マリモ界では空前絶後の「バルクアップ運動」が巻き起こっている。かつては湖底でじっと転がるだけが美学とされていたマリモたちだが、最新の浮遊スーツを装着し、水面近くの豊富な光を独占する「浮遊筋肉勢」が急増。光合成によるエネルギーを効率よく筋肉質へ転換する新メソッドを確立し、一時は湖底の静寂を乱す「マリモの体育会系化」が深刻な社会問題として浮上している。湖底の保守層からは「丸いことは正義であり、筋肉質な角張りは邪道」との批判が絶えないが、浮遊筋肉勢は「太陽光を制する者が世界を制する」と豪語し、今や湖面は、パンプアップした緑色のボディが所狭しと並ぶ、さながら「湖上のゴールドジム」と化している状況だ。

もともと湖底で重力に従い、静かに成長を続けてきたマリモたちにとって、浮遊技術の導入は文字通り「転がる人生」からの脱却を意味していた。特に今回のブームの発端となったのは、かつて社会現象を巻き起こした「重力無視の浮遊技術」の流出である。当初は移動の利便性を高める目的で開発された技術だったが、若手マリモたちが「浮遊して光を浴びれば、光合成効率が爆上がりして体格も良くなるのでは?」と気づいたことから、現在の過激なバルクアップ競争へと発展した。現在は「いかに効率よく体表に緑の筋肉(繊維)を厚く乗せるか」を競う独自の競技会まで開催されており、審判団は「どれだけ綺麗に球体を保ちつつ、重厚感を出せるか」を基準に厳格な審査を行っているという。

一連の事態を受け、湖底の有識者会議からは「美学の崩壊」を懸念する声が上がっている。長年、湖底のSNS『藻スタグラム』で「丸さ」を競い合ってきた保守層は、今回のムキムキ化に強く反発。「本来のマリモは太陽光を追うのではなく、静かに光が届くのを待つのが粋だろう」「筋肉質になると繊維が硬くなって触り心地が最悪になる」といった嘆きが投稿されている。一方で、浮遊筋肉勢からは「待っているだけの時代は終わった。これからは能動的に光を獲りに行く時代だ」と強気な意見が飛び交っており、湖底の世代間対立はかつてないほど深まっている。観光客からは「迫力がある」と一部で好評だが、自治体は安全管理の観点から「湖面を覆い尽くす筋肉マリモの群れ」の行動制限を検討し始めている。

世間の反応は真っ二つに割れている。SNS上では「最近のマリモ、肩幅広すぎてビビる」「夜中に湖面を見上げると緑の筋肉が浮いていて怖い」という悲鳴が上がる一方で、若いマリモ世代からは「自分もバルクアップして、伝説の筋肉球体を目指したい」と憧れる声が後を絶たない。中には、筋肉質になりすぎて浮力が制御不能になり、大気圏外へ飛び出しそうになる個体も確認されており、湖底の治安防衛戦を担う『硬化トゲトゲ・アーマー』部隊が出動して、浮遊しすぎたマリモを湖底へと強制回収する事態も発生した。この「緑の筋肉革命」がどこまで続くのか、湖底の平和と美学の行方は今、歴史の転換点を迎えている。