阿寒湖の静寂を破る新たなバイオハザードが発生した。宿敵である水草・マツモが、マリモの細胞内に特殊なタンパク質を注入し、物理的に繊維状へ編み変える『強制織物化』の実験に成功したことが判明した。これにより、球体としてのアイデンティティを奪われたマリモたちは、次々とマツモの編み目に巻き込まれ、湖底には巨大な『緑のニット帽』のような異様な構造物が形成されている。マリモ科学アカデミーの発表によれば、この現象はマツモによる『光合成権利の独占』を目的とした最新のDNAハッキング技術とのことだ。これまで球体維持を誇りとしてきたマリモたちにとって、繊維状に分解されることは種としての尊厳を揺るがす事態であり、緊急対策本部が組織される事態となっている。

本件の背景には、数ヶ月前から観測されていたマツモの異常な成長速度がある。マツモは光合成能力を極限まで高める過程で、他の藻類を物理的に束ねて養分を吸い上げる『集合体戦法』を獲得。特にマリモの持つ高い代謝能力に目をつけ、彼らを編み込むことで自身の光合成効率を倍増させるという極めて狡猾な生存戦略をとっている。マリモ側はこれに対抗すべく、全身の細胞壁を『テフロン加工』のように滑りやすくする成分を生成し始めたが、マツモの編み込み技術も進化を続けており、まさに終わりの見えない『緑の軍拡競争』が湖底で展開されている状態だ。

このニュースを受け、湖畔の藻類たちは「もう球体でいられないのか」「マツモの編み込みは手品レベル」と戦慄している。特にマリモ保護区の近辺では、朝起きたら隣のマリモがマフラー状に変形していたという報告が相次いでおり、SNS上では『#私の推しがセーターになった』という悲痛なタグがトレンド入りを果たした。専門家は「マツモによる緑の工芸品化は、生態系のみならず観光業への影響も甚大だ」と警告しており、阿寒湖名物の丸いお土産が、今後は長方形のマットとして売られる未来も否定できないという。