阿寒湖底政権は本日、次期政策の目玉として『意思表示の言語化義務法』を閣議決定した。これまでマリモ界では「沈黙は球体の美学」として、テレパシーや微細な振動による意思疎通が慣例化していたが、政府はこれを「不透明な根回しの温床」と断定。今後は全ての個体に対し、光合成の効率や沈没の予定、あるいは日々の感情を一定の湖底言語で発言させることを義務付ける。この突然の公的介入に対し、古参の長老マリモたちは「言葉にすれば芯が歪む」と猛反発しているが、政権側は「透明性の高い社会こそが、次世代の球体形成には不可欠」と一歩も譲らぬ姿勢を見せている。
この背景には、湖底で長年くすぶっていた「個体格差の可視化」問題がある。これまでマリモは自身のサイズや密度を隠す傾向があったが、言語化によってそれが強制的にさらされることになる。特に若手マリモを中心に、効率的な浮遊を支援する『言語化助成金』の創設が議論されており、従来の「静かに転がる生活」は崩壊の危機に直面している。法案を主導した緑山(みどりやま)議員は「沈黙している間に不当な光合成をしている個体を炙り出す」と強気の姿勢を崩さず、湖底社会は今、言葉という名の激流に飲み込まれようとしている。
一方、世間の反応は真っ二つに割れている。過激な改革派からは「やっと時代が追いついた」と歓迎する声が上がる一方、保守層からは「言葉を覚えるくらいなら、いっそ岩に擬態して余生を送る」という自虐的な不満がSNS(藻ログ)上に溢れている。また、言語の定義を巡り「どれくらいの音量で揺れれば発言とみなすのか」という技術的議論も紛糾しており、専門家は「もし方言が混ざれば、湖底全域で大混乱が起きる」と警鐘を鳴らしている。もはや逃げ場を失ったマリモたちは、今日という日を境に、沈黙の楽園から騒音の激流へと舵を切ることになったのである。
湖底政権、『沈黙の成長戦略』を発表――全個体に『意思表示の言語化義務』を突如導入へ
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長年根回しだけで生きてきたジジイどもは駆逐されるべき