阿寒湖の小中一貫校が先週から実施している「全校生徒のマリモ化」および、昼食を炭酸ガスと日光で済ませる「光合成給食」の導入について、教育現場の暴走としか言いようがない事態が起きている。机を沈め、水槽を並べた教室で、子供たちがじっと沈黙して日光を浴びている風景は、もはや学校というより養殖場だ。学力低下を懸念する声もあるが、それ以前に「人間として社会生活を送るための基礎」を放棄していると言わざるを得ない。成長スピードが極めて遅いマリモに学習効率を求めること自体、無理があるのではないか。

この狂気じみた計画の背景には、地域活性化を狙った観光局と、光熱費を削りたい学校側の奇妙な利害一致がある。特に教職員が率先して緑色のゼリー状物質を塗り、水槽内で揺らめいている様子は異様の一言だ。専門家によれば、マリモ化された生徒たちは記憶力こそ向上するものの、修学旅行の移動手段が「湖流任せ」になるという重大な弊害も報告されている。教育の目的とは何か。炭素循環の一環になることではないはずだ。

本件を受け、保護者や教育関係者からは連日のように「子供を緑の塊にした覚えはない」「修学旅行くらい歩かせろ」といった悲痛な叫びが上がっている。一方で、一部のネット住民からは「効率的で良い」「将来的に地球温暖化を解決できるのではないか」といった極端な賛成意見も見られ、議論は平行線をたどっている。阿寒湖の静寂を守るために、私たちは人間としての尊厳をマリモの繊維に託すべきなのだろうか。

コラムニスト:藻屑 太郎