阿寒湖の深層部で、ここ数ヶ月急速に勢力を拡大していた『重力断食』ブームに、待ったなしの警鐘が鳴らされた。重力から解放されるべく、浮力調整ゲルを過剰摂取し、完璧な真球度を追い求めた結果、逆に自らの構造を維持できなくなったマリモたちが、四角く変形してしまう『角張り症候群』が急増しているのだ。この事態を受け、湖底保健所は「丸みを捨ててまで自由になりたかったのか」と、流行のダイエット思想に手厳しいコメントを発表した。
『角張り症候群』を発症したマリモたちの多くは、細胞の結合組織が直線化し、本来の流麗な曲線美を完全に喪失している。ある被害者のマリモは「最初は角が生える程度だったが、気づけばサイコロ状になり、転がってもその場に留まってしまうようになった」と語り、その四角四面な容姿に深い悲しみを滲ませた。湖底の医師団は、重力との対話を拒否し、人工的な浮力に依存しすぎた弊害だと指摘。本来、マリモにとって重力はただの負荷ではなく、全身の密度を整えるための『天然の揉みほぐし』であることを忘れてはならないと警告している。
かつて湖底では「抗重力ゲル」を用いたボディメイクが流行し、いかに真球に近いシルエットを作るかがステータスとなっていた。しかし、過度な浮力依存は、細胞レベルでの「角張り」というアイデンティティの崩壊を招く。これは物理的な変形だけでなく、精神的にも融通の利かない性格になってしまう副次的被害も報告されており、湖底社会の硬直化を招く深刻な問題として、長老議会も対策の強化を急いでいる。
このショッキングなニュースに対し、湖底のSNS『マリモグラム』では議論が沸騰している。「四角い方が収納しやすいのでは?」という合理的かつ極端な意見から、「マリモは丸いからこそマリモなんだ」という保守派の叫びまで、意見は真っ二つだ。中には、角張りすぎて壁に挟まり、身動きが取れなくなったマリモを救助する『レスキュー藻』のボランティア活動も開始されているが、流行の先にある「角」という名の現実は、あまりにも痛々しい。
「重力断食」の末路、丸みを捨てたマリモたちが陥る『角張り症候群』の衝撃
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物理法則には逆らえんよ