阿寒湖の生態系を揺るがす「ウチダザリガニ菜食主義化問題」に対し、マリモ界の重鎮である球体藻の長老・丸山(仮名)氏が真っ向から異を唱えた。かつて天敵であったはずのザリガニが、マリモによる執拗な英才教育の結果、好物の藻類を一切口にしない『完全ベジタリアン』へと転向した今回の事態。表向きには平和的共生として歓迎されているが、丸山氏はこれを「捕食者としての本能を奪う、極めて陰湿なアイデンティティ剥奪行為だ」と厳しく断罪している。丸山氏によれば、弱肉強食こそが阿寒湖の秩序を維持するスパイスであり、精神を書き換えてまで押し付けられた平和は、苔むした岩のような虚無でしかないという。
本件の背景には、マリモたちが独自に開発した『説得型光合成波動』がある。これはマリモが放出する微弱な電流と藻類の香りを組み合わせ、他者の脳内(あるいは神経節)に「自分も藻類になりたい」という強烈な憧憬を刷り込むものだ。この技術は、かつてマツモとの領土紛争を解決する際に開発されたが、今やザリガニの食生活を制御するまでの強制力を獲得している。専門家は「マリモの教育は、もはや教育という名の洗脳に近い」と警鐘を鳴らすものの、当のザリガニたちは「キャベツは藻よりも深みがある」と謎の哲学を語るなど、もはや正常な判断能力を失っているようだ。
この報道を受け、阿寒湖の住民からは賛否両論の嵐が吹き荒れている。「ザリガニがハサミを置くなら平和だ」と喜ぶ若手マリモ派がいる一方で、「野性を忘れたザリガニはただの赤黒い動くゴミだ」といった辛辣な意見も散見される。特に、食の多様性を奪われたザリガニたちのコミュニティでは、隠れてこっそり水草を食い散らかす『闇の菜食主義者』たちが急増中だという。阿寒湖に訪れた平和は、底なしの偽善なのか、それとも真の進化なのか。マリモ界は今、究極の二択を迫られている。
文:藻屑(もくず)太郎
「菜食主義は自由意志を奪う」 ウチダザリガニ改心強要に、マリモ界の老練家が警鐘を鳴らす
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