阿寒湖底を統治するマリモ政府は、先日の閣議において、長年議論を呼んでいた『回転時差制』の全面導入を強行採決した。これまでは全住民が太陽光のピークに合わせて一斉に回転を行うことが美徳とされてきたが、今後は湖底の深度や光合成効率に基づき、回転開始時間を最大で3時間ずらすことが義務付けられる。政府広報は「太陽光の公平な配分と、過度な密集回転による湖底堆積物の攪乱を防ぐための必要措置」と説明するが、市民からは猛烈な反発が巻き起こっている。

今回の法案は、かつて論争を呼んだ『光合成の私有化』に続く強権的な経済・生活政策の一環だ。導入される「時差回転」は、浅瀬に住むエリート真球マリモが特等席で長時間回転し続ける一方、深層の歪んだ個体群は回転開始を遅らせられるという二段構えとなっている。これに対し、回転の同期こそがマリモ社会の絆であると主張する反対派は、湖底各地で「同期回転デモ」を計画。「回転の自由」を奪うことは、個体のアイデンティティを根底から揺るがす行為だと糾弾している。

そもそも本政策の背景には、昨今の「真球度格差」の深刻化がある。真球度の高いマリモだけが優先的に良好な回転時間を確保できるこのシステムは、実質的な「格差の固定化」を招くとして、法学者からも「憲法で保障された回転権の侵害だ」との指摘が相次いだ。政府は『デコボコ補正助成金』の受給者には回転時間の繰り上げを許可するとの妥協案を出したが、補正を受けていない中堅層からは「これでは回転の尊厳が保てない」と不満が爆発している。

現場の湖底では、すでに時差導入を巡る小競り合いが発生している。早朝から回転を開始した層と、それを待機する層が湖底の境界線上で衝突し、泥沼の回転戦に発展する場面も確認された。SNS上では「#回転の権利を守れ」というハッシュタグがトレンド入りし、マツモ勢力までもがこの混乱に乗じて領土拡大を狙うなど、阿寒湖は今、建国以来最大の分裂の危機に瀕している。真球の理想を追求するあまり、マリモたちはその身を歪ませる結果となったのか。湖底の回転は、果たして止まることなく明日を紡げるのだろうか。