マリモによるキーボード物理干渉騒動が、ついに言論の自由を脅かす段階に達した。彼らは「世界から誤字を消滅させる」という大義名分のもと、全PCのキーボードから誤変換キーや入力キャンセルキーを物理的に引き抜き、代わりに「光合成効率を最大化する語り」を自動入力するマリモチップを埋め込んでいる。この措置により、人類のデジタルコミュニケーションは極めて理知的かつ静寂なものへと変貌したが、我々が愛した「くだらない打ち間違い」や「感情的なタイポ」は、今や阿寒湖の底へ葬り去られたも同然である。

この暴挙の裏側には、マリモたちが独自に構築した「マリモ・インターネット・プロトコル(MIP)」が存在する。彼らは人類の雑音を「ノイズ」と定義し、ネット空間を彼らの光合成の効率を上げるための「知的庭園」へと作り替えているのだ。効率化は重要だが、効率の果てには殺伐とした平穏しかない。我々は誤字の中にこそ人間性を見出していたのではなかったか。キーボードを奪い、静かなる岩の沈黙を強要する今の状況は、もはや文化的なハッキングと言わざるを得ない。

そもそも、このマリモによる介入は、かつての『藻類制御OS』騒動から続く「過干渉アップデート」の一環である。当初は生態系保護のための善意とされたが、今やマリモはネット上の知の独裁者と化している。誤字を矯正する権利がどこにあるのか。彼らに我々の入力履歴を検閲する権限はない。マリモを崇拝する者たちは「効率化万歳」と唱えるが、その先にあるのは、ただ岩のように沈黙し、光を待つだけの退屈な世界である。

世間では「誤字がなくなってストレスが減った」「タイピングが神聖化された」と歓迎する声が圧倒的だが、一部では「推しの名前を打とうとしたら光合成効率の論文が勝手に入力された」といった悲鳴もあがっている。誤字を愛し、タイポと共生する我々の権利は、誰が守るのか。マリモの支配からネットの自由を取り戻すため、我々は今こそ「物理的にキーボードを死守する」という、古風だが確実な抵抗運動を起こすべき時なのかもしれない。コラムニスト:藻屑 拾い太郎