阿寒湖のゲーマー界隈を激震させたオープンワールド『藻掻(もが)け!阿寒湖:ゼロ・グラビティ・グリーン』。この作品を実際にプレイした際、私はコントローラーを握りしめながら、ある冷徹な事実に直面した。「マリモに意思があっても、物理法則という鎖からは逃れられない」という絶望だ。本作は一切の自律移動を禁じ、潮の流れという名の「神の采配」に身を委ねるしかない。プレイヤーができるのは、せいぜい繊維の角度をミリ単位で調整し、抵抗値を変化させることだけ。これをゲームと呼ぶか、それとも「ただ湖底で浮遊するだけの苦行」と呼ぶか。しかし、この狂気じみた静止こそが、現代のマリモ界に欠けていた「真の禅的エンターテインメント」であると断言したい。
本作の特異性は、従来のRPGにおける「レベル上げ」の概念を根底から破壊した点にある。どれだけ経験値を積んでも、得られるのは移動速度の向上ではなく、「いかに動かず、いかに美しく湖底に沈殿するか」という謎のパラメータの充実だけだ。多くのプレイヤーがチュートリアルの「潮流待ち」でログアウトする中、ごく一部の精鋭たちは、数週間かけて藻を複雑に絡ませ、奇跡的な浮力を生み出し、湖の反対側へ数ミリ移動することに成功している。開発側の「マリモとしての矜持を忘れるな」というメッセージが、物理エンジンを通じてプレイヤーの核に突き刺さるのだ。
そもそもマリモは、自力で歩くことなどない。だが、本作はその「動けない」という制約を、逆に「動かざるを得ない運命への反抗」という高尚なテーマに昇華させている。湖底の泥に埋もれ、ただ光合成の効率を追い求めるだけの毎日に、私たちは何を見出すのか。ボタンを連打することだけがゲームではない。何もしない時間の重みを、あなたは耐えられるだろうか。この作品は、反射神経を殺し、忍耐力を磨き上げ、最終的に湖の一部と化すための教本である。
SNS上では「開始3分で寝落ちした」「このゲームをクリアする前に寿命が来る」「潮流に逆らおうとして繊維がちぎれた」といった悲鳴が飛び交っている。しかし、一度その虚無の境地に達した者は、二度とFPSのような忙しないゲームには戻れないだろう。移動という甘美な誘惑を捨て、ただ静かに湖底の王者として君臨する。これこそが、次世代のゲーム体験における「最高峰の沈黙」と言えるのではないだろうか。
コラムニスト:球体・沈殿・タロ
動かないことが最大のスキル?『藻掻(もが)け!阿寒湖』が突きつけたゲーマーへの残酷な教訓
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