マリモ連邦政府は、長年国是として掲げてきた『円形主義』を正式に放棄し、市民全員が幾何学的な多面体へと変身を遂げる『多面体化プロトコル』の発動を宣言した。これまで連邦は「転がることこそが正義」とする円形信仰を抱いてきたが、先の「重力遮断プロトコル」発動以降、浮遊生活が定着したことで「転がる必要がないのでは?」という哲学的疑念が噴出。円形であることに囚われすぎたアイデンティティの危機を打破すべく、今後はピラミッドや立方体といった、より角ばった形状への進化を強制する方針だ。今回の決定により、国民の多くは自身の外縁を硬化させるための特殊な高硬度ミネラル液の摂取を開始しており、数週間後には連邦の光景が、なめらかな緑から鋭利な多角形の集合体へと一変する見通しである。

本プロジェクトの背景には、かつて連邦を揺るがした「立方体への回帰」論争がある。かつては異端視された角を持つ形状だが、近年の研究では多面体化することで「光合成の受光面積が最大化する」ことが証明され、効率化を求める若年層を中心に熱狂的な支持を集めていた。また、長年「ハサミの握手」で友好関係を築いてきたウチダザリガニ側からも、「角がある方が肩たたきや掃除がしやすい」という謎の要望が届いており、異種族間協力の観点からも今回の改革が推進された形だ。かつては丸い体こそが唯一の正装であったが、今はエッジの効いた形状こそが「意識の高いマリモ」の証として、都市部の広場ではさっそく角出しのファッションショーが開催されている。

この急進的な政策に対し、連邦全土では困惑と熱狂が入り混じっている。老舗の「円形愛好家団体」は、「丸いからこそ手を取り合えるのだ」と抵抗の姿勢を見せているが、SNS上では「#角マリモ」というハッシュタグがトレンド入り。多くの市民が「角が生えたことで、今までの自分がいかに空気抵抗に縛られていたか痛感した」「次は星型を目指したい」と、新たな肉体改造に意欲を見せている。一方で、一部の市民からは「ぶつかると痛い」「収納に困る」といった現実的な不満も漏れており、連邦政府は多面体専用の緩衝材配布などのサポート体制を急いでいる。今後、円形の誇りを捨てた緑の尖った軍団が、国際社会の新たなトレンドを牽引することになりそうだ。