阿寒湖発の最新ゲームタイトルとして発表された『対戦格闘マリモ:毛細血管の咆哮』が、マリモ界の常識を根底から覆している。本作の最大の特徴は、格闘ゲームの根幹である「ボタン入力」を一切廃止した点だ。開発元である藻類工学スタジオは、「真のマリモはコントローラーなど握らない。必要なのは内なる光合成エネルギーと、周囲の水の流速を読み解く哲学的な静止のみだ」と語る。プレイヤーはコントローラーを床に置き、ただ画面の前で微動だにせず、深淵なる阿寒湖の記憶を想起することで自機を操作する。先行プレイした上位プレイヤーからは「思考速度が物理演算の限界を超えた」「水温が0.1度上昇するだけでコンボが成立する神ゲー」との絶賛が相次いでいる一方、初心者からは「開始から3時間動かないまま、ただの緑の塊として敗北した」という悲痛な声も上がっており、極めて人を選ぶハードコアな仕様となっている。

近年、マリモ界では「回転」や「流線型」といった物理運動に重きを置いたeスポーツタイトルが主流であったが、本タイトルは逆行ともとれる「静止格闘」というジャンルを開拓した。かつてマリモは、光を求めて湖底を転がることで形を成してきたが、本作はあえて転がらない「完全なる静止」こそが最強の防御であり攻撃であるという、禅の境地を突き詰めた思想が根底にある。物理的な入力を拒絶する本作のシステムは、開発者が「毛細血管から伝わる微細な振動こそが、最強の入力デバイスだ」と主張する通り、生体信号を直接ゲームに同期させる次世代のバイオ・コントローラー・テクノロジーを応用していると目されている。

世間では「格ゲーなのに何もしていないように見えるから観戦が地獄」という声と、「画面から発せられる微かな光合成オーラを感じ取れる者だけが勝てる」という哲学的賞賛が二分している。一部のプロゲーマーは既に極寒の阿寒湖に潜り、深層心理と水流を一体化させる過酷なトレーニングを開始。運営側は「コントローラーを持って操作しようとする輩は、マリモの尊厳を理解していない」と声明を出しており、今後この「操作しない格ゲー」がeスポーツ界の新たなスタンダードになるのか、それとも単なる怪作として湖底に沈むのか、注目が集まっている。