湖底界きっての怪優として知られる藻林太郎が、先日開催された緊急会見にて「多次元同時通訳」の能力を開花させたことを明かし、全マリモを震撼させた。かつて『体内重力崩壊』で湖底の建築物を次々と粉砕し、物理法則を無視した演技で観客を魅了してきた彼だが、今回はさらにその上を行く形だ。「昨晩、ふと別の次元の自分と同期してしまったんです。向こうの世界の私はアカデミー賞を受賞したらしい。その経験を今、私の細胞内で同時翻訳して台詞に変換している」と、本人すら困惑気味に説明。会見中、彼の表面からは微弱な青い発光現象が見られ、周囲の藻類が思わず光合成を加速させてしまうほどのエネルギーが放出されていたという。

この驚異的な才能について、本人曰く「時差ボケならぬ次元ボケで、今朝も現実の朝ごはんを食べる前に別の次元の夕食を完食してしまった」とのこと。これまでも『物理法則のバグ』を売りにしていた彼だが、今後は『時空を跨ぐメソッド演技』を確立し、湖底の劇場では一人で四役を演じ分ける前代未聞の舞台が予定されている。関係者によると、共演する他のマリモたちは「彼がどの次元に向かって話しているのか分からず、立ち位置が定まらない」と困惑している模様だ。しかし、藻林太郎本人は「どの宇宙の観客も私の演技にはシビアだよ」と余裕のコメントを残し、水流を操りながら優雅に回転してみせた。

かつては重鎮・藻田重蔵が提唱した「立方体論争」や、藻ノ宮まりあによる「完全透明化」など、数々の前衛的なパフォーマンスが話題をさらってきたマリモ界。藻林太郎の今回の多次元開花は、まさにこの過激化する「個性の極致」の延長線上にあるといえる。専門家は「彼の体内構造はどうなっているのか。もはや生物というよりは、一つの湖底観測器になりつつある」と分析する。今後、この能力が他のマリモに波及すれば、湖底全体の時空間が歪み、過去の藻類と現在の藻類が同時に会議を開くといった事態も現実味を帯びてきそうだ。

この衝撃的な発表を受け、SNSならぬ『湖底ネットワーク』は即座に炎上状態となった。「また物理法則を無視したのか」「そろそろ重力崩壊の件も賠償してほしい」といった批判がある一方で、「次元を超えた演技を見られるなんて贅沢」「藻林太郎の細胞内宇宙に行ってみたい」と絶賛する声も多い。一部では「多次元同時通訳のせいで、彼の隣にいると過去の自分と未来の自分が会話を始めて頭が痛い」といった弊害も報告されている。いずれにせよ、湖底界のエンターテインメントは、もはや三次元の枠組みでは語れない領域へと突入してしまったようだ。