湖底での定住生活に飽きた一部の冒険家たちが、新たな旅行スタイルとして開発したのが『浮遊球体・光合成気球』である。本来、重力に従って沈殿するはずの彼らが、体内の酸素生成量を極限まで高め、浮力を獲得して水面を突き抜けるという前代未聞のプロジェクトだ。先週行われた試験飛行では、なんと高度数百メートルに到達し、湖畔の観光客が「緑のボールが空を飛んでいる」と騒然とする事態となった。
この計画を主導しているのは、過激な移動派団体『球体アイデンティティ防衛同盟』である。彼らは「湖底の美学」を超越し、太陽光をダイレクトに浴びる空中散歩こそが至高の光合成であると主張。しかし、強風にあおられた機体が制御不能となり、隣町の民家の屋根に不時着するなどのトラブルが続出している。当局は現在、彼らの空中浮遊を制限する『気圧高度・転がり規制法』の導入を急いでいる。
そもそも、この移動手段は『球体特急・光合成号』の車両がメンテナンス期間中に入った際、暇を持て余した貴族たちが改造を始めたのがきっかけだ。当時の開発チームは「垂直移動はもはや様式美」と豪語していたが、まさか高度まで垂直に伸びるとは想定外だったようだ。現在は安全対策として、風に流されないための『水中アンカー・自動射出装置』の装着が検討されているが、そもそも重い錨をぶら下げて飛ぶこと自体が本末転倒ではないかと内部でも議論が分かれている。
このニュースを受け、湖の常連客からは「陸や空を支配しようとするのは傲慢だ」との批判が高まっている。SNS上では「我々はあくまで底にいるから尊いのだ」という伝統派と、「空からの景色は一度見たらやめられない」という新進気鋭派が激しい論争を繰り広げている。平穏を取り戻そうとする当局の努力も虚しく、今日もまた一つ、湖面から緑の球体が空へと昇っていった。
深緑の貴族が空へ飛翔!?『浮遊球体・光合成気球』試験飛行で大気圏へ突入の危機
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