北海道の冷涼な名所から、今や大気圏の果てへと旅立つ者が続出している。近年、湖底での窮屈な生活や天敵からの圧力に耐えかねた者たちが、新たなバカンスの形として『成層圏・球体限定・成層圏ヒッチハイク』を大々的に利用し始めている。このツアーは、ただプカプカと漂うだけの退屈な観光に飽き足らない冒険心の強い者たちが、強引に気象観測気球にしがみつき、オゾン層付近まで一気に上昇するという命知らずなプランである。地上から見れば単なる丸い緑の点にしか見えないが、当事者たちにとっては、冷たい水底から解放されるまたとない極上の空中散歩となっている。特に、長年自分たちの表面を執拗に狙ってきた『甲殻類・和解交渉代理店』の魔の手が届かない高度数万メートルの世界は、まさに究極の逃避先として絶大な支持を集めている。気圧の急激な変化によって爆発するリスクも囁かれているが、そんなスリルすらも楽しむかのように、連日多くの愛好家たちが打ち上げ場所へと行列を作っている。
もともと底に沈んでじっと耐え忍ぶことが美徳とされてきた彼らにとって、自らの意思で空へ飛び出すことは一大革命であった。かつては『沈黙の団体ツアー』などで無言のまま集団行動を強いられていた者たちも、このツアーでは大気に向かって「開放感最高!」と叫ぶ(もちろん心の中で)など、精神的な解放感を大いに満喫している模様である。しかし、あまりの急上昇に伴う寒暖差によって、表面の組織が凍りついたり剥がれたりするトラブルも発生している。そのため、運行会社では新たに防寒用の特殊コーティングを義務付けるなど、安全面での対策に追われている。それでもなお、息苦しい日常を捨てて宇宙の入り口を目指す者たちの勢いは止まることを知らない。
このような前代未聞の空中旅行が流行した背景には、長年続いていた過酷な環境からの逃走願望がある。水底では常に外敵からのプレッシャーに怯え、限られたスペースでの窮屈な共同生活を強いられてきた。そうしたストレスの蓄積が、ついに重力を無視して大気圏へと飛び出すほどの爆発的なエネルギーを生み出したのだ。観光業界の専門家からは「ついにここまで来たかという驚きと、生態系への影響を懸念する声の両方がある」との指摘も出ている。今や地球の重力圏すらも彼らのリゾート地となりつつあり、次はどの惑星を目指すのかという壮大な噂話まで飛び交う始末である。
世間の反応は驚きと称賛が入り交じっており、「まさか空を飛ぶとは思わなかった」「うちの近所の池のやつも打ち上げられてて草」といった声がSNS上で飛び交っている。一方で、「調子に乗りすぎるとそのうち太陽まで行って干からびるぞ」といった冷静な忠告も少なくない。しかし、当の旅行者たちはそんな忠告をどこ吹く風とばかりに、今日も今日とて気球の紐にしがみつき、星屑をまとって優雅に orbit(軌道)を描き続けている。彼らの旅は、単なる気晴らしではなく、生き残りをかけた静かなる革命そのものなのである。湖底の貴族による天空への大移動は、これからの観光の常識を根底から覆すかもしれない。(文・球体トラベル評論家 丸山真理夫)
宿敵の爪が届かぬ天空へ!『成層圏・球体限定・成層圏ヒッチハイク』の過激な逃避行
0
気球の邪魔だからやめろ