マリモ銀河連邦が推し進める「全人類球体化計画」に対し、一部の識者から猛反発が起きている。連邦は「角張った精神は回転効率を低下させ、物理的にも精神的にも無駄な摩擦を生む」と主張するが、これに対し作家の四角一平氏は「不格好な角こそが人生のスパイスだ」と真っ向から否定した。同氏は、幼少期に角にぶつかりながら学んだ痛みが人間形成に不可欠であると説き、効率のみを追求した滑らかな球体社会は、個性という名の凸凹を削ぎ落とす全体主義的政策であると糾弾。マリモたちの「回転こそ至高」という価値観は、多様性を拒絶するあまりにも偏った思想であると、連邦の議事堂前で正方形の看板を掲げて抗議活動を展開している。

この議論の発端は、連邦による「地球上の角の全撤去」指令だ。彼らは机の角、建物の四隅、さらには性格の鋭い人間に至るまで、全てを丸く研磨する強制アップデートを計画している。これに対し、家具メーカーや建築業界からは「角がなくなれば棚に物が置けない」との悲鳴が上がっているが、連邦側は「棚などという概念がそもそも回転の阻害要因だ」と一蹴。効率的なエネルギー循環を重んじるマリモ族にとって、角による衝突は「進化の停止」を意味するのだという。しかし、抵抗派は「止まること、ぶつかること、それこそが生命の証明ではないか」と反論を強めており、現在、両者の対立は収束の兆しを見せていない。

背景として、マリモ銀河連邦は数千年にわたり、水流に身を任せて回転し続けることで「摩擦ゼロの境地」を体得してきた歴史がある。彼らにとって、直角は「進路を塞ぐ最大の悪」である。今回の騒動は、静的で調和的なマリモの宇宙観と、動的で非効率を愛する人類の生物学的な齟齬が、ついに決壊した形だ。専門家は、今後連邦が「重力の回転化」を強行した場合、人類は物理法則の枠組みから強制退場させられるリスクがあると警鐘を鳴らしている。なお、今回の反論を受け、連邦側は「角の保護団体を滑らかにするための特別プロジェクトチーム」の結成を準備しているという。

SNS上では「#角張ったまま生きろ」「#球体恐怖症」といったハッシュタグがトレンド入りし、一部の過激な支持者が頭頂部を三角に尖らせる髪型で連邦への抵抗を示すなど、対立は深まるばかりだ。若者の間では「丸くなる=大人になること」という従来の概念を逆手に取り、あえて尖ったアクセサリーを身に着けるファッションが爆発的に流行している。マリモ連邦側も「彼らの抵抗すらも回転の遠心力の一部」と余裕を見せているが、人類がこのまま「角」を死守し、効率という名の支配から脱却できるのか、その行方に注目が集まっている。

(コラムニスト:四角 一平)