次世代VRデバイス『緑の鼓動(グリーン・パルス)』がマリモ愛好家たちの間で物議を醸している。このデバイスは、装着者の視覚と聴覚を阿寒湖の底へ同期させるだけでなく、特殊な電磁波によってプレイヤーの代謝を「マリモのそれ」に合わせるという画期的なものだ。実際に体験したユーザーからは「日光を浴びた瞬間、脳内で莫大な糖質が生成される感覚があり、多幸感で失神しそうになった」との報告が相次いでいる。開発元は「これはゲームではなく修行に近い」と説明しているが、長時間の使用により自力で動くことを忘れてしまい、リビングの床で丸まって動かなくなるユーザーが続出。緊急時には自動で酸素を排出する安全装置がついているものの、あまりの心地よさにわざと装置を作動させる廃人ゲーマーが後を絶たない。

近年、マリモ関連のゲームは「静寂」や「放置」をテーマにしたものが主流であったが、本製品は「生命の根源」に直接アクセスするコンセプトで一線を画している。阿寒湖の底にあると想定されるサーバーから送られてくる光合成データは、あまりに膨大で通信容量を圧迫するほどだという。専門家は「人間がマリモの脳を体験することには生物学的なリスクがある」と警告するが、熱心なファンは「人間としての思考を捨て、ただ水中で光を待つだけの時間は至高」と主張。今後、このデバイスがもたらす「原始回帰」現象が、現代社会のストレスを解決するのか、それとも人類の文明を後退させるのかに注目が集まっている。

世間の反応は真っ二つだ。「ついに人間をやめる時が来たか」「光合成するだけで毎日が充足感で満たされるのは現代の奇跡」と称賛する声がある一方で、「ただ床に転がって緑色の光を追いかけているだけの姿は、客観的に見てホラーでしかない」といった批判も多い。さらに、長時間使用しすぎたユーザーが現実に戻った際に、日光を探して窓際から離れられなくなる「向日性離脱症状」も確認されており、厚生労働省も実態調査に乗り出す構えを見せている。もはやゲームという枠を超え、一種の精神修行、あるいは極上の麻薬と化した『緑の鼓動』。次のアップデートでは、湖底のミネラルを摂取する疑似体験機能が追加される予定だが、果たして人類の身体がそれに耐えられるのか不安視されている。