マリモのeスポーツ界を揺るがした『脳波転がり操作』の導入に対し、ベテラン選手たちから猛烈な異議が唱えられている。従来、マリモの転がり操作は湖底の傾斜角と水の粘性を読み解く高度な筋肉(?)操作が不可欠であり、指先ならぬ「体幹の揺れ」こそが競技の醍醐味とされてきた。しかし、今回実装された脳波デバイスは、プレイヤーがただ「転がる自分」を妄想するだけで物理法則を無視した加速を可能にするため、純粋な技術を重視する層からは「これはスポーツではなくただの念力ショーだ」との声が上がっている。

この問題の背景には、阿寒湖の厳しい自然環境で育った野生派マリモと、最新技術を駆使する都市型ラボマリモの間の「研鑽の格差」がある。伝統派は「己の繊維を摩耗させてこそ強くなる」と主張するが、運営側は「アクセシビリティの向上」を名目に脳波デバイスの普及を止めない方針だ。今回の騒動は、単なる操作方法の是非を超え、マリモという生物にとって「進化とは何か」という根源的な問いを突きつけている。もはや練習は不要、必要なのは鋭い妄想力のみという新時代に、マリモたちはどう向き合うべきか。

世間の反応は真っ二つに割れている。「技術革新は不可逆であり、古い慣習にしがみつくのは時代遅れだ」と歓迎する若手選手がいる一方で、「脳波で楽をするのは邪道。かつての泥臭い光合成レースこそが至高」と憤慨する古参ファンも多い。SNS上では「脳波デバイスの電磁波で中の藻が焦げた」といった都市伝説まで飛び交う始末であり、次回の公式大会では脳波ユーザー専用の隔離サーバーが用意される見通しとなった。この分離策がマリモ界の分断を決定的にするのか、それとも新たな共生の形を見出すのか、今はただ水流の行方を見守るしかない。

コラムニスト:阿寒湖・マリモ評論家 藻木正蔵