阿寒湖を舞台にした大人気対戦ゲーム『藻林檎の乱』において、先日実装された新機能『放置育成モード』が波紋を呼んでいる。このモードは、プレイヤーが操作しなくてもマリモが自律的に光合成を行い、経験値を稼げるという触れ込みだった。しかし、蓋を開けてみれば、実装直後から全サーバーで「何もしない」という高度すぎる戦略が流行。プレイヤーたちは、ただただ静かに湖底で沈殿し続ける自キャラを眺めるだけの「究極の省エネ対戦」に突入してしまった。その結果、全サーバーの処理負荷は過去最低を記録したものの、ゲームとしての熱量は文字通り氷点下まで冷え切り、開発陣からは「動いてくれ、頼むから何かしてくれ」と悲痛な叫びが漏れている。

本来、『藻林檎の乱』は激しい水流に抗いながら他のマリモと衝突し、自身の質量を競う格闘アクションであった。しかし今回のアップデートで導入された『省エネ代謝システム』により、過剰に動くことが「栄養の無駄遣い」と見なされるようになったのだ。結果として、ランクマッチの最上位帯までもが「いかに動かずに沈殿し続けるか」を競う地蔵合戦となり、対戦相手を探す必要すらなくなったプレイヤーたちが、無言で泥の中に埋まるというシュールな光景が広がっている。この現象は開発者が意図した「ゆったりとした成長」を大きく逸脱しており、もはやゲームというよりは「大規模な緑色の岩の沈殿観測アプリ」と化している。

本件に関して開発元は「マリモの生態に忠実であれという声に応えた結果だが、これほど動かないとは思わなかった」と困惑を隠せない様子。当初は「一定の代謝量を超えないと試合放棄とみなす」という修正を検討していたが、古参プレイヤーからは「動かないことこそが至高のプレイスタイル」という強硬な反論が殺到している。現在、湖底には数千万個のマリモがピクリともせずに沈んでおり、開発側は強制的に水流を発生させる『人為的台風イベント』を急遽準備中だという。なお、この間もマリモたちは一切の意思疎通を拒否し、静かに光合成を繰り返している。

この状況を受け、SNS上では「格闘ゲームから環境シミュレーターへの華麗なる転身」と皮肉る声が相次いでいる。また、ゲームを起動したまま眠るプレイヤーが続出し、一部では「睡眠用アプリとして優秀すぎる」との評価も。もはや対戦の勝敗はどうでもよく、いかに効率よく沈殿できるかという『沈殿配置学』なる謎の学問まで誕生する始末だ。阿寒湖の平和は守られたのか、それとも単に全プレイヤーが藻に飲み込まれたのか。運営の必死のテコ入れが、この冷え切った湖底に再び熱い波紋を呼ぶ日は来るのだろうか。