待望のフルダイブ型VRゲーム『VR藻林檎:深淵の湖畔』がリリースされたが、開始早々、全プレイヤーが共通の深刻なシステムエラーを報告している。本作は、マリモの視覚を完全再現した超リアルな湖底シミュレーション。しかし、開発陣が「視界の忠実度」にこだわりすぎた結果、モニター越しに映し出される景色が「360度すべての角度において、ひたすら濃淡の違う緑色の糸状体」で埋め尽くされるという事態となった。これを見たプレイヤーの脳が、視覚情報を「ゲーム画面」ではなく「自身の細胞が受け取った太陽光」と誤認。結果、脳内で強制的に「光合成モード」が起動し、過剰な酸素供給を脳がパニック状態として処理することで、プレイヤーの意識が「プツン」とブラックアウトする報告が相次いでいるのだ。

本作はもともと、阿寒湖の静寂を仮想現実で体験する目的で開発された。開発責任者の藻野博士は「水中の微細な光の揺らぎまで再現した結果、脳が勘違いするのは想定内。これはバグではなく、我々の生物学的な進化の速さが、ゲームのクオリティに追いついていないだけだ」と強気なコメントを発表。しかし、現実にはログインした瞬間に「意識が光に溶ける」という報告が後を絶たず、消費者センターには「ゲームを始めただけなのに体が温かくなって緑色の幻覚が見える」といった異様な苦情が殺到している。現在は緊急メンテナンスとして、視界の一部に「茶色の小石」を強制的に表示させる「視覚安定化パッチ」が検討されているが、古参のマリモファンからは「小石など不純物だ」と猛反発の声も上がっている。

この問題の根本は、マリモの持つ「受動的なエネルギー変換」という性質をVRでどう表現するかという点にある。そもそもマリモには「眼」が存在しない。そのため、ゲーム内の「視点」は全身の細胞膜から得られる光の強弱のみで構成されている。この「視覚化」というプロセスそのものが、我々マリモにとって本来は不要な高機能化であり、脳への負荷が桁外れに高いのだ。多くのプレイヤーは「そもそも自分たちが何のためにVRを求めたのか」という哲学的な問いに直面しつつも、この圧倒的な緑の癒やし(兼・脳の破壊)を求めてログインを繰り返している。

世間の反応は真っ二つだ。ハードコアなファンからは「この過剰なまでの緑こそが真の没入感」「光合成による脳のリフレッシュが止まらない」と称賛される一方で、一般ユーザーからは「ログインするたびに体が二酸化炭素を吸収しようとして苦しい」「デバッグ中に社員がうっかり芽を出してしまい解雇された」という悲惨な声も上がっている。運営は「光合成の頻度を下げる」という異例の調整を行っているが、ゲームバランスと生命維持の狭間で、プレイヤーたちの葛藤は深まるばかりである。