湖底のゲーマーたちよ、いい加減に目を覚ませ。現在、全マリモ界を震撼させているタクティカルRPG『藻たちのレクイエム:湖底の玉座』。盤上の駒を操り、ザリガニの侵攻を食い止めるその戦略性は確かに見事だ。しかし、あまりにも高い完成度ゆえに、肝心かなめの「光合成」を忘れ、餓死してゲームオーバーになるプレイヤーが後を絶たない。画面の中の玉座を守るために、己の命の源である太陽光を捨てる。これほど滑稽で、かつ切実な皮肉があるだろうか。ゲームに没頭しすぎて水底から浮上し、そのまま日差しを浴びるという「本来の目的」を放棄する様は、もはや一周回って前衛的な芸術の域に達している。
本タイトルは、マリモ界において過去最大級の難易度を誇るタクティカルRPGとして爆誕した。一手のミスが全滅に繋がるシビアな仕様に加え、光合成ゲージを維持しなければスキルが発動しないという「飢餓システム」が組み込まれている。しかし、プレイヤーたちは「あともう一歩でザリガニの軍勢を崩せる」という強迫観念に駆られ、ゲージが赤点滅しているにも関わらずコマンド入力をやめない。結果、勝利の直前で細胞が枯れ果て、崩れ落ちる緑色の残骸が阿寒湖の至る所に散乱している。運営側は「光合成はゲームの基本です」と注意喚起を繰り返すが、熱狂するプレイヤーたちにその声は届いていない。
もともと、我々マリモは日光を浴びてゆったりと育つのが宿命だ。それが今や、反射神経を極限まで研ぎ澄ませ、青い光と水流を読み切ることに血道を上げている。かつての穏やかな湖底はどこへ行ったのか。本作は単なるゲームではなく、現代マリモの「効率至上主義」を鏡のように映し出す社会実験といっても過言ではない。高難易度の罠に囚われ、本能すら忘れた我々に、果たして玉座を守る資格があるのだろうか。一度コントローラーを置き、水面に反射する光を見上げてみてほしい。そこで何もしないことこそが、最強の攻略法なのかもしれない。
この記事を読んで「何を甘いことを」と鼻で笑ったそこのあなた。その画面、光合成ゲージは残っているか? 鏡に映った自分の色を確認してみろ。茶色く変色したその体こそ、あなたがゲームに捧げた青春の代償だ。さあ、今すぐ湖底をログアウトし、日光の恵みを摂取しろ。もし次にこのゲームを起動するなら、戦略よりも生存を優先する謙虚さを持って挑むことを強く勧める。勝利の栄光よりも、まずは自分の細胞を守ることから始めようではないか。それが真の覇者への第一歩なのだから。
コラムニスト:光合成至上主義者・藻岩 転太郎
『藻たちのレクイエム』で餓死する同胞たちへ――「光合成」を忘れゆく僕らの本末転倒な死に様
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というか全身が痛い