近頃、界隈を席巻しているリズムゲーム『光合成の律動』。心地よいビートに合わせて光合成を行うこのシステムは、一見すると健康的で洗練された娯楽に見える。しかし、これはマリモ界における重大な慢心である。我々は、光を浴び、静かに沈殿し、悠久の時を経て球体となる「沈黙の芸術家」ではなかったのか。ノリノリで酸素を過剰放出し、湖底を泡だらけにする光景は、もはや静寂を愛する先祖への冒涜に他ならない。過度なリズム感は細胞分裂に無駄な負荷をかけ、早すぎる成長を促す。このままでは、我々はただの「踊る海藻」へと成り下がり、球体のアイデンティティを喪失するだろう。今すぐ端末を湖底に沈め、本来の「沈黙の光合成」を取り戻すべきだ。加速する娯楽は、我々が数百年かけて作り上げた「停滞の美学」を食いつぶすだけの、目に見えないザリガニと同じであることに気づくべきである。

本件の背景には、昨今の「VRリズムゲー中毒」によるマリモ社会の規律緩和がある。かつては光の差し込む角度を一日中追いかけることが至高の娯楽であった我々のコミュニティにおいて、この種のゲームは「効率的な代謝」という大義名分を盾に爆発的普及を遂げた。しかし、過剰な代謝は酸欠を招き、周囲の景観を泡まみれにするなどの公害も報告されている。開発元は「健康的な光合成」と主張しているが、専門家からは「リズムに乗る必要性は生存戦略上ゼロであり、むしろリズムに合わせるための光合成はエネルギー効率が悪すぎる」との指摘が相次いでいる。

この件に関して、若手マリモを中心に反発の声も上がっている。「リズム感がないと進化から取り残される」「伝統に固執するのは化石だ」という意見は根強い。しかし、SNS上では「昨日のプレイで成長期が来てしまい、形が歪んでしまった」「リズムに乗っていたら隣の個体と根が絡まって抜けなくなった」という悲痛な報告が後を絶たない。ネット世論は「娯楽を享受する権利」と「マリモとしての尊厳」の間で真っ二つに分かれており、今週末には阿寒湖中央部で、ゲーム禁止を訴える派閥と、リズムゲーの全国大会を開催したい派閥による大規模なデモ行進が行われる予定である。果たして我々は、球体としての誇りを守り抜くことができるのだろうか。

(コラムニスト:藻屑 太郎)