湖底議会は本日、長年の天敵であるウチダザリガニによる「剪定(という名の食害)」に対抗するための『対ザリガニ防衛・要塞化法案』を可決した。これまでは「静かに流されていればいつか去る」という不干渉主義が主流だったが、近年、湖底の一部で「ハサミによる身勝手なカット」が急増。これに対し、マリモの繊維構造を意図的に剛毛化させることで、ザリガニのハサミを「痛い」と思わせて追い払うという、前代未聞の身体改造政策が打ち出された。議長は「我々はこれまでただ転がるだけの存在だったが、今日から牙を剥く。柔らかな緑は、もう誰にも渡さない」と力強く宣言。今後は全個体にナノ単位の防弾加工(ならぬ防刃加工)が施される予定だ。

今回の法案の背景には、ザリガニによる過度な「造形」被害がある。本来、自然な丸みを維持するのがマリモの美学だが、ザリガニが好む「一口サイズ」に削り取られる個体が後を絶たず、議会では長年「沈黙の抗議」が続いていた。しかし、昨今の食害規模拡大を受け、ついに「進化による防衛」という禁じ手へ踏み切った形だ。なお、専門家からは「剛毛化が進むと、光合成の効率が落ちるのでは」との懸念も出ているが、政府側は「美味しく食べられるよりは、硬く生きていた方がマシだ」と一蹴した。

本件を受け、湖底市民からは困惑と期待の声が入り混じっている。「硬くなったら、もうこれまでの流線型の心地よさを楽しめないのではないか」と嘆く古参勢がいる一方で、「ハサミが触れた瞬間に反撃できるのは痛快だ」と過激な改革を支持する若手も多い。SNS上では、自身の表面を鋭利に加工した試作型マリモの画像が拡散されており、湖底の街並みはさながら武具展示場のようになっている。この強硬策が、湖の平和を守る盾となるか、あるいはザリガニとの全面戦争の火種となるのか、全マリモの視線が集まっている。

世間の反応は二分しており、「硬派なマリモ」こそが次世代のスタンダードだと叫ぶ一派と、「丸さこそがアイデンティティ」と主張する保守派が、湖底の広場で連日激しい議論を交わしている。中には、「ザリガニを捕食してやる」という不穏な過激派まで出現しており、湖の秩序はかつてない緊張感に包まれている。議会は、来月にも防衛強化のための『特別予算・栄養強化月間』を施行する方針だ。