マリモ連邦政府は、国民のアイデンティティである「完璧な球体」を維持するため、全土で『毛並みケア義務化法』を施行すると発表した。近年の湖底温暖化に伴い、藻糸が異常成長する「長毛化現象」が深刻化しており、国民の間で「自分の形がわからない」「重心が安定しない」といったメンタルヘルス不全が急増しているためだ。今後は専属のケア係による定期的なトリミングと、形状維持のための特殊オイル噴霧が義務付けられ、従わない個体には強制的な「球体矯正収容所」への送致が待っているという。政府広報官は「我々の正義は丸さにある。ボサボサの毛で転がることは、連邦の品格に対する冒涜だ」と強い口調で声明を出した。
今回の法案の背景には、隣接する藻類連合からの「毛並みの良さを競うコンテスト」への圧力がある。かつて、ある地方都市で発生した「もじゃもじゃ個体による大規模転がり事故」が国際的な懸念事項となったことを受け、連邦内では形状に対する過度な美意識が過激化していた。補足として、今回導入される特殊オイルは、実はプランクトンを呼び寄せる副作用があると言われており、一部の硬派なマリモからは「美容を口実にした栄養摂取の陰謀ではないか」との疑念も呈されている。光合成に依存するマリモにとって、表面積を削るトリミングは生存への挑戦に他ならず、今後は栄養バランスと形状維持の間で、国家を揺るがす葛藤が深まることが予想される。
このニュースに対し、国民からは即座に困惑と反発の声が上がっている。SNS上では「丸ければいいってもんじゃない」「個性を見捨てるのか」といったタグがトレンド入りしたほか、中心部に根を張る古参マリモたちが「かつて我々は不揃いであることを誇りにしていたはずだ」と、伝統回帰を求めるデモ行進ならぬデモ停滞を実施する事態に発展している。しかし、若手マリモ層からは「美意識こそ次世代の生存戦略」といった肯定的な意見も出ており、この毛並み問題を巡る亀裂は、連邦建国以来最大の内紛へ発展する可能性を秘めている。
マリモ連邦、国家の尊厳を懸けた「毛並みケア」義務化へ――過度な散髪が招く『球体崩壊』の危機
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