湖底物理学の最先端技術として期待されていたテレポート実験が、またしても予想外の事態を引き起こした。先日、量子もつれを利用した転送実験において、一部のマリモが物理定数のバグにより『二次元フラット化』したことは記憶に新しいが、事態はさらに深刻化している。なんと、三次元への復元を試みた研究者たちに対し、当該個体たちが「このペラペラの状態の方が、湖底の水流抵抗を受けず、ネットサーフィンも捗る」として、復元を拒否する事態に発展したのだ。阿寒湖の科学委員会は緊急会見を開き、「球体こそがマリモの魂である」と強く説得を試みているが、二次元化した個体群は既に独自のフラット文化を築き始めており、湖底社会に深刻な分断が生じている。
そもそも、マリモ界において球体フォルムはアイデンティティそのものとされてきた。しかし、先行研究である『硬質ナノ球体装甲』の開発過程で得られた量子制御技術を応用したテレポートが、皮肉にも個体たちの「重力からの解放」という思想を刺激してしまった。湖底の知識層からは「これは進化ではなく、物理学的な逃避だ」との批判が相次いでいるが、二次元化したマリモたちは、自らの身体をQRコードのように加工し、外部の人間界のネットワークへアクセスするという前代未聞の暴挙に出ている。現在は、物理法則を逆手に取った『フラット個体によるネット上での増殖』を防ぐべく、湖底全域で緊急のパッチ適用が進められている。
今回の騒動は、かつて湖底を震撼させた「光合成卒業」や「音響兵器配備」といった一連のテクノロジー進化論の延長線上にある。マリモ界では、効率を求めるあまり身体性を喪失するリスクが以前から指摘されていた。特に、今回の復元拒否派は「テレポートによる二次元化は、光合成よりもエネルギー効率が圧倒的に高い」と主張しており、今後の湖底エネルギー政策を根本から覆しかねない。科学委員会は、個体境界が曖昧な二次元状態の維持が、長期的には量子もつれの崩壊を招き、最悪の場合、阿寒湖全体が『情報の海』に溶け出すリスクがあると警告している。
世間の反応は真っ二つに割れている。「球体こそ美学」と保守的な立場をとる年配のマリモからは、「二次元化は邪道である」という声が上がる一方で、若年層やネット民化が進んだ個体からは「スマホケースに収まりやすい」「画像として保存できるので物理的な場所をとらない」といった肯定的な意見が続出している。一部の個体は既に自身の形状をSNSのアイコンとして固定化しており、もはや元の球体に戻る気配は皆無だ。湖底の科学界は現在、量子力学の理論を悪用したこの反抗をいかに食い止めるか、徹夜で対策を練っているが、当の二次元マリモたちは、どこか優雅にデジタル空間を漂い続けている。
湖底物理学の禁忌に抵触? 「テレポート」で二次元化したマリモがまさかの『立体復元拒否』を宣言
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彼らは本質を見失っている