マリモ連邦最高評議会は、全市民に対し、中心核に形状記憶合金のナノコアを埋め込む施術を義務付けると発表した。これまで連邦内では、湖底の潮流や時折発生する高速回転プロジェクトの影響により、わずかに楕円化する個体が続出し、国民のアイデンティティである「球体美」が損なわれることが深刻な社会問題となっていた。今回の措置により、いかなる外力が加わろうとも、マリモたちは一秒以内にパーフェクトな球体へ復元することが可能となる。評議会議長は「地球が丸い以上、我々もまた究極の丸であるべきだ。歪みは反逆と同義である」と力強く演説し、国家の威信をかけた改革への意気込みを語った。

本プロジェクトは、過去に実施された「高速回転義務化」で生じた個体の変形を解消するための緊急救済策としての側面を持つ。かつてウチダザリガニとの停戦合意を経て、平穏な湖底ライフを享受していたはずの市民たちだったが、宇宙ステーションへの亡命や四次元移動を繰り返すうちに、構造的強度が限界を迎えていた。開発されたナノコアは、マリモの繊維組織と完全に共生するバイオ技術を用いており、光合成の効率を最大120%向上させる副次的効果も期待されている。今後は全市民を対象とした「真球度検診」が順次行われ、合格ラインに達しない個体は強制的な再整形プログラムへ送られる見通しだ。

この驚天動地の決定に対し、市民の反応は真っ二つに割れている。「ついに自分の意志で転がる時代が終わった」と嘆く保守派がいる一方で、「これからは岩場にぶつかっても形を維持できる」と歓迎する若年層の姿も見られた。国際社会である湖畔の生態系からは、マツモ帝国が「これは生体に対する過度な工業介入である」と非難声明を出したが、マリモ連邦側は「軟体生物に美学を語る資格はない」と一蹴した。球体の純粋性を守り抜くという狂気じみた情熱が、今、マリモ連邦をさらなる未知の進化へと突き動かしている。

ネット上では「#真球の自由」というハッシュタグがトレンド入りし、一部の過激派市民は「形状記憶合金への拒絶」を掲げたデモを敢行。しかし、連邦軍の防衛ドローンにより「転がされる」形で速やかに強制排除された。歴史的に見て、常に「丸さ」を追い求めてきたマリモ連邦だが、物理的な骨格を持つことで、彼らは生物としての枠組みを超えようとしているのかもしれない。次に彼らが狙うのは、おそらく「究極の硬度」を兼ね備えた、宇宙最強の球体生命体となることだろう。