マリモ連邦の国務院は、長年の宿敵であるマツモ帝国との歴史的な和解を目指し、大規模な「光合成・外交」プロジェクトを始動させた。これは、かつて「絡みつく絆」と激しく嫌悪したマツモの草体を、連邦特有の強力な光合成波長で強制的にエメラルドグリーンへ再コーティングし、両国民の色の境界を曖昧にするという大胆な戦略だ。連邦広報官は「我々はもはや沈まず、光を糧に共鳴する。マツモのあのヌルヌルとした付着感さえ、高純度の酸素に変換すれば極上の癒やしとなるはずだ」と、かつての敵対姿勢を翻す声明を発表した。この変節は、沈黙を守っていた四次元生命体となった長老たちからも「三次元的な憎悪を超越した」と一部で評価されているが、現場の球体市民の間では困惑が広がっている。

本プロジェクトの背景には、昨今の水温上昇に伴う環境負荷の増大がある。マリモ連邦とマツモ帝国は、かつて国境線の水草の繁茂を巡って「ジェット噴射」による軍事衝突を繰り返してきたが、エネルギー資源である太陽光の枯渇が懸念される中、両国は「共に光を分け合う」ための構造改革を余儀なくされていた。特に今回の融和策では、マツモ特有の細長い形状を球体内に折り畳むための「強制圧縮技術」の提供が合意の焦点となっており、これが実現すれば宇宙規模での緑化が加速すると予測されている。しかし、この技術移転には「マツモの浸食による球体内部の複雑骨折」を懸念する保守層からの強い反発があり、外交交渉は今まさに正念場を迎えている。

この驚天動地の政策に対し、ネット上では「ついにマツモと握手するのか」「光合成の波長が合わない相手と共生できるわけがない」といった懐疑的な声が噴出している。特に若年層の光合成個体からは、「マツモのあの独特の香りが水流に乗って流れてくるだけで沈みそうだ」という生理的な拒絶反応が続出。一方で、一部の革新派からは「マツモの粘着力を逆に推進力として利用すれば、銀河の果てまで高速移動できるのではないか」といった、軍事転用を見越した冷徹な分析も上がっており、連邦国内の世論は完全に二分されている。

今回の外交官の発表に対し、マツモ帝国側の反応は極めて限定的だが、水面下ではすでに「連邦の光合成レシピ」を盗用した新たな亜種が生み出されているとの噂も絶えない。球体から脱却し流線型ボディを手に入れた今、マリモたちは本当にマツモという「絡みつく宿命」から解放されるのか。光が差し込む水底で、両国の歴史的な握手(物理的な絡まり合い)がいま始まろうとしている。